71. 血液培養から分離された場合 , 汚染菌の可能性が高いのはBacillus subtilis ( 主に土壌に存在 ) やPropionibacterium acnes ( 尋常性ざ瘡の原因菌 ) などである
- このほか , Staphylococcus epidermidisに代表されるコアグラーゼ陰性ブドウ球菌 ( CNS ) やCorynebacterium属菌などは表皮からの汚染菌である可能性が高い
72. Helicobacter pylori
- 胃癌と関連がある
- らせん状の形態を示す
- 微好気培養が必要である
- 強いウレアーゼ活性を有する
- 糞便中抗原検査が診断に有用である
- Helicobacter pyloriはグラム陰性らせん状の桿菌で胃粘膜に感染する
- Helicobacter pyloriの検査は糞便中抗原検査以外にも尿素呼気検査や , 血中や尿中のIgG抗体検査 , 胃粘膜組織からの培養検査など多数存在する
73. 原因ウイルス-疾患 ( 病態 )
- RSウイルス-急性呼吸器感染症
- アデノウイルス-流行性角結膜炎・咽頭結膜熱 ( プール熱 )
- コクサッキーウイルス-手足口病
- コロナウイルス-かぜ症候群
- パルボウイルス-伝染性紅斑
74. オキシダーゼテスト陽性でグルコースを発酵的に分解する細菌にAeromonas hydrophila ( すべてのAeromonas属菌 ) とPlesiomonas shigelloides ( 1属1種 ) がある
- 上記2属は酷似するコロニーを形成し , ヒトに下痢症状を引き起こすが , 特にPlesiomonas shigelloidesは赤痢 ( Shigella ) 様の症状を呈することが菌名の由来となっている
- 腸内細菌科細菌の共通性状としてグルコースを発酵的に分解すること , オキシダーゼテストが陰性であることなどが挙げられるが , Plesiomonas shigelloidesはこの定義から外れる ( オキシダーゼテストが陽性 ) 腸内細菌科細菌である
- Aeromonas hydrophilaはグルコースを発酵的に分解するが , “腸内細菌科”には含まれない ( Aeromonas科 )
※ オキシダーゼテストが陽性でグルコースを発酵的に分解する細菌には上記2属の他にVibrio属 ( “腸内細菌科” には含まれないVibrio科 ) がある
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オキシダーゼテスト | オルニチン脱炭酸反応 | DNase試験 | |
Aeromonas属菌 | + | - | + |
Plesiomonas属菌 | + | + | - |
- Acinetobacter baumannii ( オキシダーゼテスト陰性 ) とPseudomonas aeruginosa ( オキシダーゼテスト陽性 ) はグルコース非発酵菌 ( TSI培地を黄変しない ) である
75. Shigella sonnei
- IPAテスト-陰性
- ONPGテスト-陽性
- インドールテスト-陰性
- オキシダーゼテスト-陰性
- リジン脱炭酸テスト-陰性
- ONPGテスト以外の生化学的性状で ( その他のShigella属菌と比較した ) Shigella sonneiの特徴はオルニチン脱炭酸反応が陽性であることが挙げられる
76. GAM半流動培地での菌の発育

- Bacteroides fragilisが考えられる
- 培地の上層部に発育を認めないことから偏性嫌気性菌が考えられ , 穿刺部から菌が拡散していないということからは運動性が陰性であることが推測でき , これらの特徴はBacteroides fragilisに当てはまる
- Candida albicansとPseudomonas aeruginosaは好気性菌 ( 上層部のみに発育 ) であり , Pasteurella multocidaとProteus mirabilisは通性嫌気性菌 ( 全体に発育 ) である
77. 髄液からのCryptococcus neoformansの検出は5類感染症 , 喀痰からのMycobacterium tuberculosisの検出は2類感染症であり , 直ちに医師への連絡が必要である
78. リジン脱炭酸試験および硫化水素産生が陽性を示す細菌にSalmonella Typhiがある
- Salmonella paratyphi A以外のSalmonella属菌はリジン脱炭酸反応および硫化水素産生が陽性である
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リジン脱炭酸反応 | 硫化水素産生 | |
Salmonella paratyphi A以外のSalmonella属菌 | + | + |
Salmonella paratyphi A | - | - |
Citrobacter freundii | - | + |
Escherichia coli | + | - |
Proteus mirabilis | - | + |
Serratia marcescens | + | - |
79. 血液型
- ABO血液型は1900年に発見された
- ABO血液型抗原は糖鎖抗原である
- RhD陰性の頻度は日本人では約0.5%である
- ABO血液型ではLandsteinerの法則が成り立つ
- Rh系抗原の中でD抗原が最も強い免疫原性をもつ
80. RhD陰性の妊産婦への抗D免疫グロブリンの投与時期は妊娠28週前後と分娩後72時間以内が適切である
- 合計2回投与することで抗D抗体を産生する確率は1%程度となる
画像の出典:臨床検査技師国家試験 第66回 午前 別冊