第69回 ( 2023年 ) 解説 AM21~AM40

臨床検査技師国家試験第69回 ( 2023年 )
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21. 呼吸商を求めるのに必要なのは酸素摂取量二酸化炭素排出量である

  • 呼吸商は体内の栄養素 ( 糖質・脂質・蛋白質 ) が分解されてエネルギーに変換されるまでの酸素摂取量に対する二酸化炭素排出量の体積比のことである

22. 1つの下位運動ニューロンとそれに支配された複数の骨格筋細胞群を運動単位と呼ぶ

  • Ia線維は筋紡錘の求心性神経である
  • γ運動ニューロンは主に錐内筋を支配しており直接筋収縮には関与しない
  • 運動ニューロンには随意運動のための刺激を送る大脳皮質の上位運動ニューロン ( 運動神経細胞 ) と骨格筋を支配している神経の母体である下位運動ニューロン ( 脊髄前角細胞 ) がある

23. 脳波の記録法

  • 時定数は0.3秒が標準である
  • T6は右側頭葉の後方に相当する
  • 脳死判定では測定感度は10μV / mm ( 標準感度 ) と2μV / mm ( 高感度 ) で記録する
  • てんかん発作が起きた場合でも患者の安全を確保しそのまま記録を続ける
  • サンプリング周波数200 Hzでは100 Hz以上の周波数で折り返し現象 ( エイリアシング ) が出現する
    • 脳死判定ではサンプリング周波数は500 Hz以上が望ましい

24. 次の文を読み24 , 25の問に答えよ.

78歳の男性. 心不全患者の左室流入血流速波形と計測値を示す. 

  • この波形の記録に用いたのはパルスドプラ法である
  • パルスドプラ法はサンプルゲートを設定することによって , 一定の範囲の領域での血流波形の記録ができるが , 繰り返し周波数の制限から高速血流計測には適さない

25. この波形は拘束パターンである

左室流入血流速波形はE波 ( 急速流入波 ) とA波 ( 心房収縮期波 ) より構成され , 波形パターンにより正常 , 左室弛緩障害パターン , 偽正常化パターン , 拘束パターンに分類される

26. 頸動脈超音波検査の右総頸動脈長軸像

  • 内中膜複合体厚〈 IMT 〉の計測方法として正しいのはである
  • 血管腔と接する部分から順番に1層目の高エコーと2層目の低エコーの層を合わせたものが内中膜複合体厚で , 3層目は外膜である

27. 下腹部正中横走査と右縦走査による女性骨盤腔の超音波像

  • 矢印で示されるのは卵巣である
  • 卵巣内には卵胞が多数認められる
  • 卵巣より腹側には膀胱が , 内側には子宮が描出されている
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28. 標準純音聴力検査の骨導聴力検査において音が直接伝わるのは内耳である

  • 標準純音聴力検査では気導と骨導の聴覚閾値を計測できる

それぞれの音の伝導経路は…

  • 気道聴力:音 → 外耳道 → 鼓膜 → 耳小骨 → 内耳 ( 蝸牛 ) → 音が活動電位に変換されて蝸牛神経に伝達される
  • 骨導聴力:( 振動子からの ) 音 → 頭蓋骨 → 内耳 ( 蝸牛 ) → 振動が活動電位に変換されて蝸牛神経に伝達される

29. グリコアルブミン〈 GA 〉

  • 赤血球寿命の影響を受けない血糖コントロール指標である
  • 基準範囲は11〜16%である
  • 過去約2週間の血糖値の平均を反映する
  • アルブミンに糖が結合したものである
  • 透析患者の血糖コントロールの指標に適している
    • 透析患者や鉄欠乏性貧血時は赤血球寿命に変化が生じるため血糖コントロール指標としてHbA1c ( 糖が結合した赤血球のヘモグロビンを測定 ) よりもグリコアルブミン ( 糖が結合したアルブミンを測定 ) が適している
    • グリコアルブミンはアルブミンの寿命に影響されるため , アルブミンの寿命が延長する肝硬変などでは高値となり , 低アルブミン血症となるネフローゼ症候群などでは低値となる

30. 血漿血糖値は 動脈>毛細血管>静脈 の順に高い

  • 動脈血は静脈血よりも空腹時でおよそ10 mg / dl , 食後などの血糖値が上昇している状態ではおよそ20 mg / dl高値となる

31. アポリポ蛋白−主要機能

  • A-I−LCATの活性化
  • B-100−VLDLの分泌
  • B-48−カイロミクロンの分泌
  • C-II−LPLの活性化
  • E−LDL受容体との結合
    • C-ⅢはLPLの活性阻害作用がある

32. Michaelis-Mentenの式

[S]は基質濃度 , Vmaxは最大反応速度 , KmはMichaelis定数とする.

  • Km値<<[S]のとき0次反応に近似する
  • 初速度法による[S]測定は1次反応領域でおこなう
  • Km値が小さいほど酵素と基質の親和性は大きい
  • Km値は反応速度がVmaxの1 / 2を示す[S]である
  • 終点分析法による[S]測定にはVmaxが大きい酵素を使用する

33. テタニーはCa2+の血中濃度が低下した低Ca血症によって引き起こされる

  • テタニーとは四肢末端の筋攣縮 , 痙攣発作を伴う神経症状を指す
  • 副甲状腺機能低下症や過換気症候群などでみられる

34.

  • 妊娠糖尿病はインスリンの働き抑制や分解によって生じる
  • HbA1cの生成にはアマドリ転移が関与する
  • 腎臓の糖排泄閾値は160〜180 mg / dlである
  • ムタロターゼはグルコースのα型からβ型への変換をおこなう
  • SGLT2〈 Sudium-glucose co-transpoter 2 〉は近位尿細管に存在する
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35. トリグリセライドホスファチジルエタノールアミンはグリセロール骨格構造を含む

  • トリグリセライドはグリセロール1分子に3分子の脂肪酸が結合したものである
  • ホスファチジルエタノールアミンは2分子の脂肪酸および1分子のエタノールアミンリン酸が結合したものである

36. 放射線・放射能に関する単位

  • Bq:放射線量
  • C・kg−1:照射線量
  • eV:エネルギー
  • Gy:吸収線量
  • Sv:実効線量

37. アミノ酸

  • アルギニン−塩基性アミノ酸
  • ヒスチジン−塩基性アミノ酸
  • メチオニン−含硫アミノ酸
  • トリプトファン−芳香族アミノ酸
    • プロリンは二級アミノ酸であるが , 他の蛋白質を構成するアミノ酸は一級アミノ酸である

38. 溶液Aを30倍希釈して吸光度を測定したとき , 0.300であった. 使用した光路長は1.0 cmとする. この物質の測定波長におけるモル吸光係数を6,000 L・mol−1・cm−1とすると , 溶液Aの濃度は1.5 mmol / Lである

  • ランバート・ベールの式:吸光度=モル吸光係数 ( L・mol−1・cm−1 ) ×濃度 ( mol / L ) ×光路長 ( cm )
  • 問題の数値を代入すると 0.3=6,000×濃度×1.0 となる
  • 上記から溶液Aを30倍希釈した溶液の濃度 5×10−5 ( mol / L ) が得られ
  • 溶液Aの濃度は 5×10−5×103×30=1.5 ( mmol / L ) となる

39. MALDI-TOF-MS

  • 分子量の小さい物質ほど早く飛行する
  • 飛行速度は物質の電荷の影響を受ける
  • 測定対象物質は真空中を飛行する
  • イオン化はレーザーのパルス照射によりおこなう
  • タンデム質量分析装置は2台の質量分析部を直列に接続する
    • MALDI-TOF-MSの技術は近年 , 細菌同定において日常検査で使用されている

40. ALPアイソザイム

  • 胎盤型は耐熱性である
  • 骨型は成人よりも小児で高い
  • 小腸型は高脂肪食で上昇する
  • 高分子肝型は閉塞性黄疸で上昇する
  • 免疫グロブリン結合型は電気泳動で最も陰極側に検出される

■ 続きの解説は《 こちら

画像の出典:臨床検査技師国家試験 第69回 午前 別冊

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