1. EDTAは鉄や銅などの金属イオンやALPの活性中心に含まれる亜鉛とキレートするため ,これらの測定では低値となる
- 血液凝固に必要なカルシウムイオンをキレートすることによって , 抗凝固作用を示す
- 金属イオンを含まない尿酸やアルブミンなどはEDTA加血漿で測定できる
2. 生化学検査データの偶発誤差を検出する項目間比として使用するものに Na / Cl が挙げられる
- NaとClは相関して変動するため項目間比に利用される
3. 試験紙法による尿検査で尿路細菌感染症において陽性を示すものに亜硝酸塩がある
- 細菌が尿中の硝酸塩を亜硝酸塩に還元することを原理としている ( 硝酸還元性が陰性の尿路細菌感染症原因菌も存在するため ,陰性であれば尿路細菌感染症を否定できるというわけではない )
4. 脳脊髄液検査で細菌性髄膜炎において低下する項目に糖がある
- 脳脊髄液中の糖 ( 基準値:50~80 mg / dl ) を細菌が消費するため低下する
5. 免疫学的便潜血検査
- 痔の出血も検出できる
- 化学的方法より検出感度は高い
- 上部消化管出血では検出感度が低下する
- 検査前に肉食の摂取制限が不要である
- 便の長期保存で検出感度が低下する
- 免疫学的便潜血検査はヒトヘモグロビンに特異的に反応するが ,上部消化管出血や便の長期保存などのヘモグロビン変性が疑われる場合では検出感度が低下する
6. 土壌中の感染幼虫がヒトに経皮感染するものに糞線虫がある
- 糞線虫は自家感染も引き起こす
- 肝蛭はメタセルカリアが付着した水棲植物の生食か ,ウシ肝臓中に存在する幼虫の経口摂取で感染する
- 旋毛虫は感染したクマなどの野生動物の生食で感染する
- 日本住血吸虫はミヤイリガイから遊出したセルカリア幼虫が経皮感染する
- バンクロフト糸状虫は蚊から経皮感染する
7. 検便で検出された虫卵 ( 30×40 μm ) の写真

- 無鉤条虫卵である
- 第1中間宿主はウシ , 終宿主はヒトである ( 第2中間宿主なし )
8. 22歳男性 ,発熱と意識障害とを主訴に救急外来を受診 ,5日前から頭痛 ,発熱および全身倦怠感があった. 1週間前まで約3カ月のアフリカへの渡航歴がある.
末梢血Giemsa染色薄層塗抹標本

- 熱帯熱マラリアである
- 熱帯熱マラリアは1つの赤血球に2~3個の虫体が感染する
- マラリアによる赤血球破壊が亢進すると血液検査所見ではヘモグロビン低下とクレアチニン上昇がみられる
9. 原虫-検査材料
- トキソプラズマ-血液
- リーシュマニア-血液
- 赤痢アメーバ嚢子型-糞便
- Lambl鞭毛虫栄養型-糞便
- クリプトスポリジウム-糞便
10. アニーリング ( プライマーにDNAを結合させる ) とDNAポリメラーゼ伸長反応はPCR法の反応過程に含まれる
- PCRの反応過程は “ 熱変性によって二本鎖DNAを一本鎖にする → アニーリング → DNAポリメラーゼによりDNAを伸長させる ” を繰り返しおこなう
11. 自己抗体-疾患
- 抗Sm抗体-全身性エリテマトーデス ( SLE )
- 抗CCP抗体-関節リウマチ
- 抗RNP抗体-混合性結合組織病
- 抗ミトコンドリア抗体-原発性胆汁性肝硬変 ( 原発性胆汁性胆管炎 )
- 抗アセチルコリン受容体抗体-重症筋無力症
- 全身性エリテマトーデス ( SLE ) では抗Sm抗体のほか ,抗dsDNA抗体や抗ヒストン抗体なども検出される
- 関節リウマチで検出される自己抗体では抗CCP抗体のほか ,リウマトイド因子も重要である
12. 肺水腫でみられる喀痰の性状として漿液性や泡沫性がある ( ※ )
※ 解複数 ( ”正しいのはどれか”の問に対して解が2つ ) の問題
13. ( 1 → 3 ) β-Dグルカンはカンジダやアスペルギルス ,ニューモシスチスなどの真菌感染症で上昇する
- β-Dグルカンは真菌の細胞壁を構成する多糖体であり ,深在性真菌症の診断や治療効果の判定に用いられる
14. 甲状腺機能低下症ではCKや総コレステロールが高値となる
- このほか ,LDやASTも上昇する
15. 原発性アルドステロン症は低カリウム血症の原因となる
- 溶血・腎不全・真性赤血球増加症・本態性血小板血症では高カリウム血症となる
16. 30分以上前からの胸痛の持続は運動負荷心電図検査の実施を見合わせるべきである
- 持続する胸痛は急性心筋梗塞が疑われる
- このほか ,不安定狭心症や重症大動脈弁疾患が考えられる場合では運動負荷心電図検査は禁忌となる
17. 心電図所見

- V1~V2がrsR´形で幅広いQRS波がみられることから完全右脚ブロックが考えられ ,PR時間が0.32秒であり ,PR時間の延長がみられることからⅠ度房室ブロックも考えられる
18. 胸部大動脈瘤ではHolter心電図は診断に有用でない
- 胸部大動脈瘤の診断には超音波やCTなどの画像診断が有用である
- Holter心電図検査は記録時間が24時間と長いため 異型狭心症・発作性心房細動・発作性上室性頻拍・房室ブロックの診断に有用である
19. 聴力検査
- 語音聴力検査-補聴器の適応検査に利用される
- 純音聴力検査-特定の周波数の純音に対する聴取閾値を測定する
- ティンパノグラム-鼓膜のコンプライアンスを調べる
- 自動聴性脳幹反応-新生児聴覚スクリーニング検査で用いられる
- 音響性耳小骨筋反射-主にアブミ骨筋の反射を測定し , 顔面神経麻痺の部位診断で測定される
20. 肺胞換気量の低下による呼吸性アシドーシスではpH低下 ( 基準値:7.35~7.45 ) ・PaO2低下 ( 基準値:80~100 Torr ) ・PaCO2上昇 ( 基準値:35~45 Torr )・HCO3-上昇 ( 基準値:22~26 mEq / L ) がみられる
- 呼吸性アシドーシスでは肺胞換気量の低下により肺拡散能 ( DLco ) は低下する
画像の出典:臨床検査技師国家試験 第61回 午後 別冊
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