81. 試験管内で37℃でおこなった反応のうち溶血が観察されるのは
[ ヒツジ赤血球+抗ヒツジ赤血球抗体 ] +モルモット補体
ヒツジ赤血球+抗ヒツジ赤血球抗体 ( 56℃ , 30分処理済 ) +モルモット補体
である
※ [ ] は反応後 , カルシウムとマグネシウムを添加した生理食塩液で3回洗浄したことを示す
- 溶血は抗原抗体反応後に補体が反応した結果起こる反応である
- 補体は56℃ , 30分で処理すると失活する ( 非働化 )
82. フローサイトメトリ
- 細胞内抗原を測定できる
- リンパ球サブセット検査に使用する
- 測定器の光源としてレーザー光を使用する
- 前方散乱光からは細胞の大きさに関わる情報が得られる
- 細胞がシース液の流れによって一列になって搬送される
- 細胞内部の構造は側方散乱光で検出する
83. 次の文を読み83 , 84の問に答えよ.
30歳の女性 , 出産後に発熱が続き , 蝶形紅斑および蛋白尿を認めたため入院した. 腎生検をおこない , 蛍光抗体法によってC1qを染色した結果を示す.

- 血液検査で認められる可能性が高い所見はリンパ球減少や補体活性低下である
- 蝶形紅斑は全身性エリテマトーデスの特徴的な皮膚症状であり , 蛍光抗体法の結果からループス腎炎が起きていることが分かる
84. 全身性エリテマトーデスで認められる可能性の高い自己抗体は抗核抗体と抗DNA抗体である
- 抗Jo-1抗体は多発性筋炎や皮膚筋炎に認められる自己抗体で , 抗平滑筋抗体や抗ミトコンドリア抗体は肝関連自己抗体 ( 原発性胆汁性胆管炎など ) である
85. 血液型がA型 ( 遺伝子型AO ) とB型 ( 遺伝子型BO ) の両親から生まれた子がO型である確率は25%である
- 遺伝子型AOと遺伝子型BOの両親から生まれる子の遺伝子型はAB , AO , BO , OOの4つの型 ( それぞれ25% ) である
86. 交差適合試験の主試験において , 生理食塩液法陰性 , 間接抗グロブリン試験陽性となる原因として最も考えられるのは抗Jkaなどの一部の不規則抗体の存在である
- ABO不適合・冷式自己抗体・汎血球凝集反応は生理食塩液法で陽性を示す

87. 不規則抗体
- 輸血歴がない場合でも検査が必要である
- IgGクラスの抗体が臨床的に重要である
- 酵素法ではMNSs血液型に対する抗体は検出できない
- 生理食塩液法は主にIgMクラスの抗体を検出する
- D以外のRh血液型抗原に対する抗体も検出できる
88. 輸血副作用-原因
- 肝炎-肝炎ウイルス ( 高感度遺伝子検査法が実施されているため近年ではほとんどない )
- 血管内溶血-ABO不適合輸血
- 輸血後GVHD-輸血製剤のリンパ球 ( 防止のために放射線照射が実施されている )
- 循環過負荷 < TACO > -急速大量輸血
- 輸血関連急性肺障害 < TRALI > -抗白血球抗体
89. 移植
- 造血幹細胞は末梢血からも採取できる
- ヒトからヒトへの移植を同種移植という
- 急性拒絶反応は細胞障害性T細胞が関与する
- 移植後GVHDはドナー由来のリンパ球が関与する
- 腎臓移植では他の臓器移植より高いHLA適合性が求められる
90. 平成25年 ( 2013年 ) の我が国の統計指標の大小関係
- 合計特殊出生率 > 総再生産率
- 粗死亡率 > 年齢調整死亡率
- 0歳平均余命 = 平均寿命
- 死産率 > 周産期死亡率
- 死亡率 > 出生率
- 2019年でも同様の大小関係である
91. フロンや二酸化炭素は温室効果ガスである
- メタンや亜酸化窒素なども温室効果ガスに含まれる
92. 紫外線や赤外線は電離放射線に含まれない ( 非電離放射線 )
- α , β , γ , χ 線や中性子線などは電離放射線に含まれる
93. メタボリックシンドロームの診断基準項目
- ① 腹囲 ( 男性:85cm以上 , 女性:90cm以上 )
- ② 空腹時血糖値 ( 110mg / dl以上 )
- ③ 血圧 ( 収縮期血圧:130 mmHg以上 , 拡張期血圧:85 mmHg以上 )
- ④ 中性脂肪値 ( 150mg / dl以上 )
- ⑤ HDLコレステロール値 ( 40mg / dl未満 )
- ①に該当した上で②~⑤の項目に2つ以上該当した場合 , メタボリックシンドロームと判定される
94. 介護保険制度
- 住宅改修に利用できる
- 被保険者は40歳以上である
- 介護保険料は住んでいる市区町村 , 所得により異なる
- 要支援者の割合が近年増加している
- 認知機能の障害は介護保険の対象となる
95. 放射線に対する組織・臓器の相対的な感受性 ( 組織加重係数 ) が小さいものに脳などがある
- 組織加重係数が大きい組織として生殖腺>胃=結腸=骨髄などがある
96. 図の入出力関係となる回路はどれか.

- 図の入出力関係となる回路は2.である
- 出力波形が入力波形を微分し , 過渡現象を起こした形となっているため微分回路である
- 入出力関係となる回路2.は微分回路の1つに抵抗 ( R ) とコンデンサ ( C ) を直列につなぎ抵抗 ( R ) を出力するCR回路である
- 1 . はRC回路 ( 積分回路 ) ,4 . はLR回路 ( 積分回路 ) ,5 . はLC回路 ( 共振回路 ) である
97. コンピューターのCPUは演算装置である
- CPU ( 中央演算処理装置 ) はデータの加減乗除や理論演算をおこなう
98. 8 bitのAD変換器で0~2.5 Vの電圧を変換したときの電圧の分解能は約10 mVである
- 変換器の分解能は8 bitであるため28=256 となる
- 電圧の振幅は2.5 Vであるため , 分解能は2.5 V / 256=0.0097 V≒10 mV となる
99. 医療に関わる個人情報
- 検体検査の結果も個人情報に含まれる
- 患者は自身の診療録の開示請求ができる
- 臨床検査技師には法による守秘義務が課されている
- 個人情報はあらかじめ定めた利用目的の範囲に限り利用できる
- 患者の同意がなければ検査依頼医は検査後の血液を研究に利用できない
100. 分光光度計で真の吸光度よりも小さい値となる原因として測定光に迷光が含まれることなどが挙げられる
- セルの汚れ , 光路長の増加 , 試料の混濁 , 光源ランプの照度の低下は真の吸光度よりも大きい値となる
画像の出典:臨床検査技師国家試験 第64回 午前 別冊
■ 続きの解説は《 こちら 》