第66回 ( 2020年 ) 解説 PM41~PM60

臨床検査技師国家試験第66回 ( 2020年 )
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41. クレアチニンは1分子中に窒素を3つ有する

  • クレアチニンの分子式はC4H7N3Oである
  • 尿酸はC5H4N4O3で窒素を4つ , 尿素はCH4N2Oで窒素を2つ , アンモニアはNH3で窒素を1つ , ビリルビンはC33H36N4O6で窒素を4つ有する

42. ビタミン欠乏症-疾患

  • ビタミンA欠乏症-夜盲症など
  • ビタミンB1欠乏症-Wernicke脳症など
  • ビタミンB12欠乏症-悪性貧血など
  • ビタミンD欠乏症-くる病など
  • ビタミンK欠乏症新生児メレナ , 出血傾向

43. 細菌感染による敗血症で上昇するものにCRP・プレセプシン・エンドトキシン ( グラム陰性菌感染のみ ) ・プロカルシトニンなどがある

  • ( 1→3 ) -β-Dグルカンは真菌感染症のマーカーである

44. 肝臓の解毒機能の評価に用いられる検査としてICG試験血中アンモニア値などがある

  • ICG ( インドシアニングリーン ) 試験は生体外色素であるICGを静注し、経時的に血中ICG濃度を測定することにより , 血中から肝臓への取り込みや肝臓の色素排泄機能を評価する
  • 肝臓の解毒機能が低下すると血中アンモニア値は増加する

45. 術中迅速組織標本

  • 矢印で示される現象 ( 核が破裂したように変形 ) は冷媒の温度が高い状態で凍結操作が緩慢であった際に氷晶が形成されることによって生じるアーチファクトである

46. Mayerのhematoxylin液では結晶クエン酸・抱水クロラール・ヨウ素酸ナトリウム・硫酸アルミニウムカリウム ( カリウムミョウバン ) などが含まれる

  • Carazzi ( カラッチ ) のhematoxylin液では酸化防止剤としてグリセリンが含まれる
進行性ヘマトキシリン液と退行性ヘマトキシリン液の組成

47. 気管支擦過のPapanicolaou染色標本

  • 線毛円柱上皮細胞である
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48. H-E染色標本

  • 膵臓の組織像である
  • 左上の小葉間結合組織の中に小葉間導管がみられる

49. 早期胃癌

  • 静脈侵襲を認めることがある
  • 陥凹病変を含む
  • 浸潤は粘膜下層までに限局する
  • リンパ節転移を認めることがある
  • 肉眼分類では0型に相当する

50. 子宮頸部細胞診のPapanicolaou染色標本

  • 扁平上皮癌である
  • 壊死性の背景にオレンジG好染性の異型細胞を認める扁平上皮癌の典型例である

51. 精上皮腫 ( セミノーマ ) は悪性腫瘍である

  • 血管腫・線維腫・多形腺腫・成熟奇形腫は良性腫瘍である

52. 脂質の染色法としてSudanⅢ染色 ( 橙黄色~赤橙色 ) ・Sudan black B染色 ( 黒青色~黒色 ) ・oil red O染色 ( 赤橙色~濃赤色 ) などがある

  • Alcian blue染色は酸性ムコ多糖類 , Berlin blue染色は3価鉄 , Kossa反応はカルシウム , PAS反応はグリコーゲンや粘液の証明に有用な染色法である

53. 包埋過程

  • パラフィンは非水溶性である
  • 包埋には硬パラフィンやセロイジンなどを用いる
  • 組織収縮率はパラフィン浸透時が最も大きい
  • 硬パラフィンの融点は55~60℃である
  • 脱脂効果はメタノールよりエタノールのほうが高い
    • セロイジンは大型組織片の薄切や組織の収縮および硬化を回避したい場合に用いられる

54. 組織の固定

  • ホルマリンは特定第2類物質である
  • 固定する組織体積の10倍以上の固定液が必要である
  • 遺伝子検査目的の検体の固定時間は6時間以上48時間以内が望ましい
  • ホルマリンの浸透速度は室温で1時間に1 mm程度である
  • グルタールアルデヒドの浸透速度は1時間に1 mm以下である
    • ホルマリンは上記の特定 ( 化学物質 ) 第2類物質 [ 労働安全衛生法 ] にも該当するが , 毒物及び劇物取締法の劇物にも該当する
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55. 脱灰

  • 過脱灰は抗原性を低下させる
  • 酸性脱灰法では炭酸ガスが発生するため容器の密閉は避ける
  • 脱灰液は1日に1~数回交換する
  • 脱灰液は酸の濃度が3~10%になるように調整する
  • 組織体積の100倍量以上の脱灰液が必要である

56. 類上皮肉芽腫を形成する疾患に梅毒 ( 原因菌:T.pallidum ) ・結核症 ( 原因菌:M.tuberculosis ) ・Hansen病 ( 原因菌:M.leprae ) ・サルコイドーシス ( 原因不明 ) などがある

  • 結核症や梅毒では乾酪壊死を伴う肉芽腫 ( 乾酪性類上皮細胞肉芽腫 ) を形成する
  • クローン < Crohn > 病やサルコイドーシスは非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を形成する
  • 慢性膵炎でも肉芽組織を認めることがあるが , 類上皮細胞に由来するものではない

57. 病理解剖中の術者の結核感染防止に有効な対策として微粒子用マスク ( N95マスク ) の着用がある

  • 結核菌は空気感染するため , 陰圧式の空調により外部に流出させないことも重要である

58. 腫瘍-免疫組織化学的マーカー

  • 肺癌-NSE・ProGRP ( 小細胞癌 )
  • 乳癌-ER・HER2
  • 消化管間質腫瘍c-kit
  • 大腸癌-CEAなど
  • B細胞リンパ腫-CD20
    • 免疫組織化学的マーカーの多くは特異性が低いが , PSAは前立腺癌に特異性の高いマーカーである

59. 生体中の総鉄量に対するヘモグロビン鉄の割合は約66% ( 2 / 3 ) である

  • 健常人の体内総鉄量は3~4 gである

60. 自動血球計数装置において実測している項目としてヘマトクリット値 < Ht >ヘモグロビン濃度 < Hb > 平均赤血球容積 < MCV > がある

※ 解複数 ( 選択肢を2つ選ぶ問に対して解が3つ ) の問題

  • 平均赤血球ヘモグロビン量 < MCH > や平均赤血球ヘモグロビン濃度 < MCHC > は上記の実測される値を元に算出される

画像の出典:臨床検査技師国家試験 第66回 午後 別冊

■ 続きの解説は《 こちら

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