第69回 ( 2023年 ) 解説 AM61~AM80

臨床検査技師国家試験第69回 ( 2023年 )
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61. 疾患−赤血球沈降速度

  • 関節リウマチ−亢進
  • 真性赤血球増加症−遅延
  • ネフローゼ症候群−亢進
  • 原発性マクログロブリン血症−亢進
  • 先天性無フィブリノゲン血症−遅延

62. 自動血球計数測定値の誤差要因とその影響

  • 寒冷凝集素−赤血球数偽低値
  • 巨大血小板−赤血球数 , 白血球数偽高値
  • 破砕赤血球−血小板数偽高値
  • 有核赤血球−白血球数偽高値
  • クリオグロブリン−白血球数偽高値

63. 引きガラス ( ウェッジ ) 法での末梢血液塗抹標本の作製

  • 大型細胞は引き終わりに分布しやすい
  • 塗抹後は速やかに冷風で十分に乾燥させる
  • 塗抹の厚さは引きガラスの角度に影響される
  • 塗抹スピードが速いと塗抹面の長さは短くなる
  • 血球形態への影響を避けるため採血後速やかに作製する

64. 末梢血細胞のMay-Giemsa染色標本とフローサイトメトリの所見

  • 慢性リンパ性白血病が考えられる
  • 2個の成熟したリンパ系細胞とsmudge cell※を認め , CD19 , CD20 , CD23 , CD5の発現 , 免疫グロブリンλ鎖 ( Smlg-L ) のクロナリティを認める
  • CD5とCD23が共に発現しているB細胞はCLL ( 慢性リンパ性白血病 ) 細胞とも呼ばれる

※ smudge cellは塗抹標本作製時に細胞質が崩壊し , 核のみを認めるものであり , リンパ系腫瘍でよく認められる

65. 骨髄芽球

  • 核小体を認める
  • N / C比が大きい
  • 細胞質内に顆粒を認めない
  • 細胞質は好塩基性が強い
  • 核クロマチン構造が繊細である

66. フィブリノゲン

  • 急性炎症で上昇する
  • トロンビン時間法により測定される
  • 3種類のポリペプチドからなるヘテロ3量体が重合した2量体の構造である
    • フィブリノゲンがトロンビンに分解されるとフィブリンが生じる
    • フィブリンがプラスミンで分解されるとDダイマーが遊離する
    • 血中で最も高濃度な蛋白質はアルブミンである

67. 赤血球

  • ヘムには2価の鉄原子が含まれる
  • 鉄は血漿中でトランスフェリンに結合している
  • 赤血球におけるATP供給は解糖系による
  • ヘモグロビンの酸素飽和度はpHが上昇すると増加する
  • 健常成人のヘモグロビンの1〜3%をヘモグロビンA2が占める
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68. Mycobacterium tuberculosisは世代時間が長い

  • 細菌や細胞が1回の分裂にかかる時間を世代時間という
  • 多く細菌の世代時間は20〜30分であるが , Mycobacterium tuberculosisのような発育が遅い菌の世代時間は20〜22時間である

69. 多剤耐性結核菌 ( MDR-TB ) はイソニアジドとリファンピシンの両剤に耐性の結核菌を指すが , これに加えてニューキノロン系薬 ( レボフロキサシンなど )の1種類以上に耐性でかつアミカシン , カナマイシン , カプレオマイシンのいずれかに耐性をもつものを超多剤耐性結核菌 ( XDR-TB ) という

  • ストレプトマイシンは多剤耐性結核菌の判定に用いない

70. 腸管感染症患者の下痢便のGram染色標本

  • 矢印で示される菌はCampylobacter Campylobacter jejuni ※ ) であると考えられる
  • 便でGram陰性らせん状桿菌を認めた場合はCampylobacter属菌が考えられる

※ 国家試験の選択肢に合わせてC.jejuniの菌名を記載しているが , Campylobacter属菌にはC.jejuniC.coliがありこれらは塗抹所見のみでは同定できない

71. 基質拡張型β-ラクタマーゼ〈 ESBL 〉産生菌にイミペネムやメロペネムなどのカルバペネム系抗菌薬は有効である

  • カルバペネム系抗菌薬は基質拡張型β-ラクタマーゼ〈 ESBL 〉産生菌治療の第一選択薬である
  • 基質拡張型β-ラクタマーゼ〈 ESBL 〉産生菌は上記のカルバペネム系抗菌薬のほか , クラブラン酸などのβラクタマーゼ阻害薬との合剤 , セファマイシン系薬 ( セフメタゾールなど ) には感性を示す
  • 基質拡張型β-ラクタマーゼ〈 ESBL 〉産生菌の代表的な菌種としてEscherichia coli , Klebsiella pneumoniae Proteus mirabilisがある
  • カルバペネム系抗菌薬は腸内細菌科細菌治療薬の切り札であるが , カルバペネム系抗菌薬にも耐性となった腸内細菌科細菌をカルバペネム耐性腸内細菌 ( CRE ) といい , これに対する治療薬にはコリスチンなどがある

72. 細菌と真菌

  • Chlamydia trachomatis−細菌
  • Cryptococcus neoformans−真菌
  • Nocardia asteroides−細菌
  • Pneumocystis jirovecii−真菌
  • Treponema pallidum−細菌
    • 真菌にはCryptococcus neoformansCandida属菌などの酵母様真菌 , Aspergillus属菌などの糸状菌がある
    • 細菌は原核生物 , 真菌は真核生物である

73. 培地−使用目的

  • Bordet-Gengou培地− ( Bordetella pertussis=百日咳菌 ) 選択分離
  • Cary-Blair培地−検体輸送
  • King A培地−性状確認
  • LIM培地−性状確認
  • Mueller-Hinton寒天培地−薬剤感受性検査

74. WHOが提唱する手指衛生のタイミング

  • 無菌操作の前
  • 患者に触れる前
  • 患者に触れた後
  • 患者周辺の物品に触れた後
  • 体液に曝露された可能性のある場合
    • 患者周辺の物品に触れる前は手指衛生のタイミングには含まれない
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75. 細菌−毒素

  • Clostridium tetani−神経毒素
  • Enterohemorrhagic Escherichia coli〈 EHEC 〉−ベロ毒素
  • Staphylococcus aureus−エンテロトキシン・毒素性ショック症候群毒素
  • Streptococcus pyogenes−ストレプトリジンOおよびS・ディック毒素
  • Vibrio parahaemolyticus−耐熱性溶血毒

76. ハートインフュージョンブイヨンで培養した菌の染色標本

  • Leifson法で菌体と鞭毛が赤色に染色されている
  • Giménez染色はLegionella属菌 , Hiss法は莢膜 , Neisser法はCorynebacterium diphtheriae ( ジフテリア菌 ) の異染小体 , Wirtz法は芽胞の染色に用いられる

77. 血中薬物濃度測定による治療薬物モニタリング〈 TDM 〉の対象となる抗菌薬はゲンタマイシンやアルベカシンなどのアミノグリコシド系薬とバンコマイシンやテイコプラニンなどのグリコペプチド系薬である

78. ウイルス−疾患

  • コクサッキーウイルス−手足口病 , ヘルパンギーナなど
  • サイトメガロウイルス−先天性サイロメガロウイルス感染症など
  • デングウイルス−デング熱・デング出血熱
  • ヒトパルボウイルス−伝染性紅斑
  • ヒトRSウイルス−急性呼吸器感染症

79. 主要組織適合性遺伝子複合体〈 MHC 〉

  • 第6番染色体短腕上に存在する
  • ヘルパーT細胞はクラスII分子と反応する
  • CD4分子の結合部位はβ2ドメインに存在する
  • クラスII分子の発現はマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞に限局される
  • β2-ミクログロブリン遺伝子以外のMHC分子は多型性に富んでいる

80. 細胞表面マーカーと発現細胞

  • CD3陽性細胞−T細胞全般
  • CD4陽性細胞−ヘルパーT細胞
  • CD8陽性細胞−細胞傷害性T細胞
  • CD19陽性細胞−B細胞
  • CD56陽性細胞−NK細胞

■ 続きの解説は《 こちら

画像の出典:臨床検査技師国家試験 第69回 午前 別冊

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