第66回 ( 2020年 ) 解説 AM1~AM20

臨床検査技師国家試験第66回 ( 2020年 )
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1. 臨床検査室において尿浸透圧の測定に用いられるのは氷点降下法である

  • ガラス電極法はpHの測定で用いられる
  • 屈折計法・陽イオン抽出法・メタクロマジー法は尿比重の測定で用いられる

2. 偽痛風で関節液中に認められるのはピロリン酸カルシウム結晶である

  • 痛風で関節液中に認められるのは尿酸ナトリウム結晶である

3. 尿沈渣の無染色標本

  • シスチン結晶である
  • シスチン結晶は先天性シスチン尿症 ( 常染色体劣性遺伝 ) や酸性尿で認められる
  • 塩酸・水酸化カリウム・アンモニア水で溶解する

4. 臨床検査技師が放射性同位元素 < RI > を取り扱う際に遵守すべきなのは測定試薬の管理台帳作成である

5. 糞便に用いる検査法にSudanⅢ染色法抗ヒトヘモグロビンイムノクロマト法などがある

  • SudanⅢ染色は便中の脂肪成分の検出法として , 抗ヒトヘモグロビンイムノクロマト法は大腸癌のスクリーニング検査として有用である

6. 夜間採血の新鮮血塗抹標本に検出された勢いよく動く虫体の写真を示す.

  • この寄生虫の感染経路は経皮感染である
  • フィラリア感染症であり , 蚊によって媒介されるため感染経路は経皮感染である
  • ミクロフィラリアは夜間に末梢血中に移動するため , 採血時間は夜間が適している
  • フィラリア感染症の9割以上はバンクロフト糸状虫が原因である

7. 静脈採血法

  • 採血前に患者自身に姓名を名乗ってもらう
  • ホルダーは患者ごとに交換する
  • 採血部位は肘正中 , 橈骨 , 尺側皮静脈のうち最も適した血管からおこなう
  • 抜針後は穿刺部を圧迫する
  • 針はホルダーから外さずに廃棄する
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8. 試験紙法で尿潜血が陽性 , 尿沈渣で赤血球が陰性となる原因として横紋筋融解症 ( ミオグロビン尿 ) やABO型不適合輸血 ( ヘモグロビン尿 ) などがある

  • このほか , 発作性夜間ヘモグロビン尿症でもヘモグロビン尿がみられる

9. 結核性髄膜炎の髄液所見

  • 糖の減少
  • 蛋白の増加
  • 単核球の増加
  • クロールの減少
  • アデノシンデアミナーゼ < ADA > 活性の上昇

10. 内部精度管理法-用いる試料

  • 累積和法-精度管理試料
  • x̄-R管理図法-精度管理試料
  • 項目間チェック法患者データ
  • デルタチェック法患者データ
  • マルチルール管理図法-精度管理試料

11. 疾患-染色体異常

  • バーキットリンパ腫-t ( 8;14 ) 
  • 急性骨髄性白血病 ( M2 )-t ( 8;21 ) 
  • 一部の急性リンパ芽球性白血病・慢性骨髄性白血病-t ( 9;22 )
  • 濾胞性リンパ腫-t ( 14;18 ) 
  • 急性前骨髄性白血病 ( M3 )-t ( 15;17 ) 

12. 動脈血液ガス分析で , pH 7.48 , PaO2 98 Torr , PaCO2 30 Torr , HCO3 22 mmol / Lの結果から考えられるのは過換気症候群である

  • このほか , 呼吸性アルカローシスを呈する疾患に間質性肺炎や肺線維症がある
  • 胃液吸引=代謝性アルカローシス
  • 急性膵炎=代謝性アシドーシス
  • 慢性肺気腫=呼吸性アシドーシス
  • 原発性アルドステロン症=代謝性アルカローシス

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  病態
呼吸性アシドーシス 気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患 ( COPD )など
代謝性アシドーシス AG正常 ) 尿細管性アシドーシス・下痢など
AG増加 ) 糖尿病性ケトアシドーシス・尿毒症 ( 末期腎不全 ※ )・乳酸アシドーシスなど
呼吸性アルカローシス 過換気症候群・間質性肺炎・肺線維症など
代謝性アルカローシス 嘔吐・原発性アルドステロン症・クッシング症候群など

※ stage 3後期〜stage 4の腎不全ではAG正常の代謝性アシドーシスを呈し , stage 5の末期腎不全ではAG増加の代謝性アシドーシスを呈する

13. 1型糖尿病と関連のある自己抗体は抗GAD抗体 ( 抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体 ) である

  • このほか , 1型糖尿病と関連のある自己抗体に抗膵島細胞質抗体 ( ICA ) がある
  • 抗SS-A ( 抗SS-B ) 抗体はSjögren症候群 , 抗平滑筋抗体は自己免疫性肝炎など , 抗リン脂質抗体は抗リン脂質抗体症候群 , 抗サイログロブリン抗体は慢性甲状腺炎 ( 橋本病 ) で陽性となる

14. 肝硬変

  • 肝右葉萎縮が認められる
  • 血小板減少が認められる
  • 食道静脈瘤が認められる
  • ICG試験で排泄が停滞する
  • C型肝炎ウイルスによるものが多い
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15. 推算糸球体濾過量 < eGFR > の推算に必要な項目は性別年齢・血清クレアチニン値である

  • eGFR=194×血清クレアチニン値-1.094×年齢0.287 ( 女性は×0.739 )
  • 健常人のeGFRは90 ml / min / 1.73 m2 以上である

16. 大動脈弁が閉じてから僧帽弁が開くまでの心時相は等容弛緩期である

  • 左室の拡張機能障害の程度を測る指標として用いられる

17. ドプラ法

  • 三尖弁逆流速度測定-連続波ドプラ法
  • 僧帽弁輪運動速度測定-パルスドプラ法
  • 大動脈弁狭窄症の弁口部圧較差推定-連続波ドプラ法
  • 左室流入血流速度波形による左室拡張能評価-パルスドプラ法
  • 僧帽弁閉鎖不全症の逆流弁口吸い込み血流の検出-カラードプラ法

18. 心尖部四腔像の収縮期カラードプラ像

  • 左心房 ( 画像右下 ) に逆流を認め , 僧帽弁閉鎖不全症が考えられる
  • 僧帽弁閉鎖不全症では全収縮期雑音 ( 収縮期逆流性雑音 ) を認める

19. 心電図

  • 広範囲前壁梗塞である
  • V2~V4誘導にQSパターン ( 深いQ波とR波の消失 ) および冠性T波を認めることから前壁梗塞が考えられる
  • 上記に加えて , Ⅰ・aVL・V5・V6誘導にも冠性T波を認めることから , 側壁までの広範囲に及ぶ心筋梗塞が考えられる
  • したがって , 広範囲前壁梗塞であると推測できる
梗塞部位 心電図所見
前壁中隔 V1~V4誘導でST上昇
側壁 Ⅰ ,aVL ,V5~V6誘導でST上昇
高位側壁 Ⅰ ,aVL ,高位のV5~V6誘導でST上昇
下壁 Ⅱ ,Ⅲ ,aVF誘導でST上昇
純後壁 V1~V2誘導でR波増高 ,ST低下 ,陽性T波増高

20. スパイロメトリで測定できる肺気量分画に1回換気量最大吸気量などがある

  • このほか , スパイロメトリで測定できる肺気量分画には , 予備吸気量・予備呼気量・肺活量がある
  • 機能的残気量はガス希釈法 ( Heを指示ガスとする閉鎖回路法・N2を指示ガスとする解放回路法 ) あるいは体プレスチモグラフ法で測定できる
  • 残気量および全肺気量は機能的残気量を測定することにより算出できる

画像の出典:臨床検査技師国家試験 第66回 午前 別冊

■ 続きの解説は《 こちら

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