第66回 ( 2020年 ) 解説 AM21~AM40

臨床検査技師国家試験第66回 ( 2020年 )
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21. 1回呼吸法による肺拡散能力 ( DLco ) の測定用吸入ガスには4種混合ガス ( CO・He・N2・O2 ) が用いられる

  • CO2は含まれない

22. 静肺コンプライアンスが上昇する疾患に肺気腫 ( 慢性閉塞性肺疾患:COPD ) がある

  • 高度肥満・肺線維症・脊柱側弯症では静肺コンプライアンスは低下する

23. 臨床検査技師が単独でおこなうことができない検査に気道過敏性試験がある

  • 気道過敏性試験は患者に薬剤を吸入させておこなう検査であるため , 臨床検査技師が単独でおこなうことはできない
  • 基準嗅覚検査・気道抵抗測定・骨導聴力検査・電気味覚検査は臨床検査技師が単独でおこなうことができる

24. 超音波所見-疾患・病態

  • 肝表面の不整肝硬変
  • カメレオンサイン-血管腫
  • ブルズアイサイン-転移性肝腫瘍
  • 肝深部エコーの減衰-脂肪肝
  • 肝腎コントラストの増強-脂肪肝

25. 乳腺の単純性嚢胞の超音波所見として , 辺縁が境界明瞭であることなどが挙げられる

  • 典型例では内部は無エコーで後方エコー増強がみられる

26. 概日リズムの中枢として松果体視交叉上核がある

  • 概日リズムに関与するホルモンに松果体から分泌されるメラトニンがある
  • 日中に強い光を浴びるとメラトニンの分泌量は低下し , 夜間暗くなってくると分泌量が増加する

27. 電気味覚検査の対象となる鼓索神経を分岐する脳神経は顔面神経である

  • 鼓索神経は舌の前方2 / 3を支配する
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28. 血流依存性血管拡張反応 < FMD > に影響を与える因子として喫煙・月経周期・カフェイン・ビタミンCなどがある

  • このほか , 食事 ( 原則 , 空腹時に測定 ) やアルコール飲料も影響する
  • 飲水は影響しない

29. 生体

  • 血漿蛋白は弱酸として作用している
  • 赤血球を高張液にさらすと収縮 ( 溶血 ) する
  • 成人男性の体重の約60%は水である
  • 間質液が異常に蓄積した状態を浮腫という
  • 膠質浸透圧は血中アルブミン濃度に依存する

30. イヌリンはβ-1 , 2グリコシド結合をもつ

  • イヌリンは糸球体で完全に濾過され , 尿細管によって分泌されることも再吸収されることもないため , 糸球体濾過量の測定をおこなう指標物質として用いられる ( イヌリンクリアランス )

31. 基質と酵素の組み合わせでアンモニアが関係するものに , 尿素とウレアーゼ , グルタミン酸とグルタミン酸デヒドロゲナーゼがある

  • ウレアーゼ・グルタミン酸デヒドロゲナーゼ法 ( 尿素窒素測定法 )
  • 尿素 -( ウレアーゼ )2NH3+CO2
  • NH3+α-ケトグルタル酸+NADPH -( グルタミン酸デヒドロゲナーゼ )グルタミン酸+H2O+NADP

-( 酵素名 ) → は触媒反応を示す

32. 糖尿病型の判定基準

  • HbA1c:6.5%以上 ( NGSP値 )
  • ② 随時血糖値:200 mg / dl以上
  • ③ 早朝空腹時血糖値:126 mg / dl以上
  • 75 g経口ブドウ糖負荷試験2時間血糖値:200 mg / dl以上
    • 糖尿病診断基準において「 糖尿病型 」は上記の①~④のいずれかが確認されることにより判定される
    • 「 糖尿病 」の診断基準は上記の②~④のいずれかと①が確認された場合に「 糖尿病 」と診断される

33. 鉄欠乏性貧血では過去約2カ月の平均血糖値から想定されるHbA1c値より測定値が高値となる

  • 鉄欠乏性貧血ではHbが減少した結果 , 代償性に赤血球の平均寿命が長くなりHbA1cが偽高値となる ( 回復期では偽低値となる )
  • 輸血後・腎性貧血・大量出血後・溶血性貧血では赤血球の平均寿命が短くなることによりHbA1cは偽低値となる

34. 血糖調節機構

  • インスリン-解糖系促進
  • 肝臓-グリコーゲン合成
  • グルカゴングリコーゲン分解促進
  • 脂肪組織-トリグリセライド合成
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35. クロール

  • 細胞外液に存在する ( 細胞外液ではNa+に次いで多いイオン )
  • 蛋白質とは結合しない
  • 嘔吐により血中濃度が低下する
  • アニオンギャップ値の算出に必要である
    • AG ( アニオンギャップ ) =Na- ( Cl+HCO3 )
    • α-アミラーゼの活性中心はCa2である

36. 血清蛋白泳動分画

第67回午前問36の問題画像
  • この患者の血清中に増加が考えられるのは免疫グロブリン ( IgGなど ) である
  • 上記の血清蛋白泳動分画ではγグロブリン分画にピーク ( Mピーク ) を認める
  • Mピークは免疫グロブリンの1つが単クローン性に増加する多発性骨髄腫などでみられる
血清蛋白泳動分画の解説画像

各分画の主要な成分

プレアルブミン分画プレアルブミン ( トランスサイレチン )
アルブミン分画アルブミン
α1グロブリン分画α1-アンチトリプシンなど
α2グロブリン分画ハプトグロビン・セルロプラスミンなど
βグロブリン分画トランスフェリン・ヘモペキシンなど
γ-グロブリン分画IgG・IgA・IgM・CRP

37. グルクロン酸抱合の不良により間接ビリルビンが増加するのはGilbert症候群である

  • 溶血性貧血でも間接ビリルビンが上昇するが , “グルクロン酸抱合の不良”ではなく破壊された赤血球内のヘモグロビンを大量に処理した結果として間接ビリルビンが増加する
  • 閉塞性黄疸・急性ウイルス性肝炎・Dubin-Johnson症候群では直接ビリルビンが増加する

38. 過酸化水素・ペルオキシダーゼ系呈色反応

  • 酸化還元酵素 ( ペルオキシダーゼ ) を用いる
  • 吸光度の増加量を測定する
  • 共存物質の影響を受ける
  • 分析感度を変化させることができる
    • 呈色反応の測定波長は用いる物質 ( フェノールの代わりにアニリン系など ) により変化する
    • 酸化還元酵素を用いるため , アスコルビン酸などの還元性物質の共存で負誤差となる

39. 自動分析装置を用いる二波長法

  • 光量補正が可能となる
  • 2つの波長の吸光度差を測定する
  • 試料の濁りの影響を軽減することができる
  • 1試薬系の検査試薬に適用することができる
  • 副波長は極大吸収波長 ( 主波長 ) より長波長側に設定する

40. リポ蛋白

  • HDLはLDLよりも蛋白質含有量が高い
  • IDLはLDLとVLDLの中間の比重をもつ
  • カイロミクロンはVLDLよりも粒子サイズが大きい
  • VLDLはカイロミクロンよりもトリグリセライド含量が低い
  • VLDLはアガロースゲル電気泳動法でLDLよりも陽極側に移動する
    • [ 陰極 ] ( 原点 ) カイロミクロン → LDL → IDL → VLDL → HDL [ 陽極 ]

画像の出典:臨床検査技師国家試験 第66回 午前 別冊

■ 続きの解説は《 こちら

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