第66回 ( 2020年 ) 解説 AM61~AM80

臨床検査技師国家試験第66回 ( 2020年 )
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61. 白血球細胞の細胞表面マーカーでCD5 , CD20及びCD23が陽性であったとき , 考えられるのは慢性リンパ性白血病 ( CLL )である

  • 慢性リンパ性白血病 ( CLL ) ではBリンパ球が単クローン性に増殖する
  • Bリンパ球はB細胞抗原であるCD19・CD20・CD23が陽性となり , T細胞抗原であるCD5も一部のBリンパ球で陽性となる

62. プロトロンビン時間 < PT > 及び活性化部分トロンボプラスチン時間 < APTT > に異常を示さない血液凝固因子欠乏症は第ⅩⅢ因子である

  • プロトロンビン時間 < PT > は外因系凝固能 , 活性化部分トロンボプラスチン時間 < APTT > は内因系凝固能を反映する
  • 第ⅩⅢ因子の異常はこれらに反映されない

63. 二次線溶を反映する検査にDダイマーがある

  • Dダイマー はフィブリンがプラスミンによって分解される際に生じる
  • Dダイマーは播種性血管内凝固症候群 ( DIC ) などで高値となる
播種性血管内凝固症候群 ( DIC ) の検査項目

64. アンチトロンビンはセリンプロテアーゼインヒビターである

  • セリンプロテアーゼにはトロンビン ( 活性化第Ⅱ因子:Ⅱa ) や活性化第Ⅹ因子 ( Ⅹa ) がある
  • アンチトロンビンはこれらを阻害するセリンプロテアーゼインヒビターである

65. 血漿鉄消失時間が延長する疾患として再生不良性貧血がある

  • 血漿鉄消失時間が著明に短縮する疾患として , 溶血性貧血・鉄欠乏性貧血・真性赤血球増加症がある
  • 巨赤芽球性貧血では正常~やや短縮する

66. 骨髄穿刺液のMay-Giemsa染色標本

  • 矢印の封入体 ( アウエル小体 ) のもととなる細胞内成分はアズール顆粒である
  • アウエル小体を有する芽球がみられた場合は急性骨髄性白血病 ( AML ) が考えられ , アウエル小体が束状になったファゴット細胞がみられた場合は急性前骨髄性白血病 ( APL ) が考えられる

67. 真性赤血球増加症の95%以上の症例でJAK2変異がみられる

  • このほか , 本態性血小板血症および原発性骨髄線維症の約50%の症例でJAK2変異がみられる

68. Mycobacterium属で低温 ( 30℃ ) での培養が必要なのはM. marinumである

  • このほか , M.ulceransも低温 ( 30℃ ) での培養が必要である
  • 結核菌群 ( Mycobacterium tuberculosisMycobacterium bovis ) は37℃でのみ発育が可能である

69. ヒト免疫不全ウイルス < HIV >

  • 逆転写酵素をもつ
  • 主な標的細胞はCD4陽性T細胞である
  • ウエスタンブロット法や核酸増幅法が確認検査として用いられる
  • 医療従事者における感染経路には針刺しがある
    • 針刺しでも感染しうるが , B型肝炎ウイルス ( HBV ) やC型肝炎ウイルス ( HCV ) と比較して感染力は極めて弱い
    • ヒト免疫不全ウイルス ( HIV ) はRNAウイルスの中でも逆転写酵素を有するレトロウイルス科に属する ( ヒトT細胞性白血病ウイルス:HTLV-1もレトロウイルス科に属する )
    • ノイラミニダーゼ阻害薬はインフルエンザウイルスの治療に用いられる

70. 膿のGram染色標本を示す. 分離菌はヒツジ血液寒天培地およびBTB乳糖寒天培地に発育し , カタラーゼ試験は陽性でマンニトールを分解した.

  • Staphylococcus aureus( 黄色ブドウ球菌 ) が推定される
  • 好中球に貪食されたグラム陽性球菌 ( ブドウ状 ) が観察され , Staphylococcus aureusはカタラーゼ試験が陽性でマンニトールを分解する
  • Staphylococcus aureusと同属のStaphylococcus epidermidisはマンニトールを分解しない
  • グラム陽性連鎖球菌 ( Enterococcus属菌やStreptococcus属菌 ) はカタラーゼ試験が陰性である
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71. 血液培養から分離された場合 , 汚染菌の可能性が高いのはBacillus subtilis( 主に土壌に存在 ) やPropionibacterium acnes( 尋常性ざ瘡の原因菌 ) などである

  • このほか , Staphylococcus epidermidisに代表されるコアグラーゼ陰性ブドウ球菌 ( CNS ) やCorynebacterium属菌などは表皮からの汚染菌である可能性が高い

72. Helicobacter pylori

  • 胃癌や特発性血小板減少性紫斑病 ( ITP ) 関連がある
  • らせん状の形態を示す
  • 微好気培養が必要である
  • 強いウレアーゼ活性を有する
  • 糞便中抗原検査が診断に有用である
    • Helicobacter pyloriはグラム陰性らせん状の桿菌で胃粘膜に感染する
    • Helicobacter pyloriの検査は糞便中抗原検査以外にも尿素呼気検査や , 血中や尿中のIgG抗体検査 , 胃粘膜組織からの培養検査など多数存在する

73. 原因ウイルス-疾患 ( 病態 )

  • RSウイルス-急性呼吸器感染症
  • アデノウイルス-流行性角結膜炎・咽頭結膜熱 ( プール熱 )
  • コクサッキーウイルス手足口病
  • コロナウイルス-かぜ症候群
  • パルボウイルス-伝染性紅斑

74. オキシダーゼテスト陽性でグルコースを発酵的に分解する細菌にAeromonas hydrophila( すべてのAeromonas属菌 ) とPlesiomonas shigelloidesがある

  • 上記2属は酷似するコロニーを形成し , ヒトに下痢症状を引き起こすが , 特にPlesiomonas shigelloidesは赤痢 ( Shigella) 様の症状を呈することが菌名の由来となっている
  • 腸内細菌科細菌の共通性状としてグルコースを発酵的に分解すること , オキシダーゼテストが陰性であることなどが挙げられるが , Plesiomonas shigelloidesはこの定義から外れる ( オキシダーゼテストが陽性 ) 腸内細菌科細菌である
  • Aeromonas hydrophilaはグルコースを発酵的に分解するが , “腸内細菌科”には含まれない ( Aeromonas科 )

※ オキシダーゼテストが陽性でグルコースを発酵的に分解する細菌には上記2属の他にVibrio属 ( “腸内細菌科” には含まれないVibrio科 ) がある

表は横にスクロールできます ▶

 オキシダーゼテストオルニチン脱炭酸反応DNase試験
Aeromonas属菌
Plesiomonas属菌
  • Acinetobacter baumannii( オキシダーゼテスト陰性 ) とPseudomonas aeruginosa( オキシダーゼテスト陽性 ) はグルコース非発酵菌 ( TSI培地を黄変しない ) である

75. Shigella sonnei

  • IPAテスト-陰性
  • ONPGテスト陽性
  • インドールテスト-陰性
  • オキシダーゼテスト-陰性
  • リジン脱炭酸テスト-陰性
    • ONPGテスト以外の生化学的性状で ( その他のShigella属菌と比較した ) Shigella sonneiの特徴はオルニチン脱炭酸反応が陽性であることが挙げられる

76. GAM半流動培地での菌の発育

第66回午前問76の問題の画像

  • Bacteroides fragilisが考えられる
  • 培地の上層部に発育を認めないことから偏性嫌気性菌が考えられ , 穿刺部から菌が拡散していないということからは運動性が陰性であることが推測でき , これらの特徴はBacteroides fragilisに当てはまる
  • Candida albicansPseudomonas aeruginosaは好気性菌 ( 上層部のみに発育 ) であり , Pasteurella multocidaProteus mirabilisは通性嫌気性菌 ( 全体に発育 ) である

77. 髄液からのCryptococcus neoformansの検出は5類感染症 , 喀痰からのMycobacterium tuberculosisの検出は2類感染症であり , 直ちに医師への連絡が必要である

微生物検査結果で緊急報告が必要な所見として

・血液や髄液などの無菌材料から菌が検出された場合

・感染症法で届け出が必要な場合 ( 結核菌の検出=2類感染症 , 腸管出血性大腸菌の検出=3類感染症など ) 

が挙げられる

78. リジン脱炭酸試験および硫化水素産生が陽性を示す細菌にSalmonellaTyphiがある

  • Salmonella paratyphi A以外のSalmonella属菌はリジン脱炭酸反応および硫化水素産生が陽性である

表は横にスクロールできます ▶

 リジン脱炭酸反応硫化水素産生
Salmonella paratyphi A以外のSalmonella属菌
Salmonella paratyphi A
Citrobacter freundii
Escherichia coli
Proteus mirabilis
Serratia marcescens

79. 血液型

  • ABO血液型は1900年に発見された
  • ABO血液型抗原は糖鎖抗原である
  • RhD陰性の頻度は日本人では約0.5%である
  • ABO血液型ではLandsteinerの法則が成り立つ
  • Rh系抗原の中でD抗原が最も強い免疫原性をもつ

80. RhD陰性の妊産婦への抗D免疫グロブリンの投与時期は妊娠28週前後と分娩後72時間以内が適切である

  • 合計2回投与することで抗D抗体を産生する確率は1%程度となる

画像の出典:臨床検査技師国家試験 第66回 午前 別冊

■ 続きの解説は《 こちら

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