1. 慢性骨髄性白血病ではRT-PCR法が診断に有用である
- 慢性骨髄性白血病でみられるBCR / ABL1キメラmRNAの定量にRT-PCR法が用いられている
- BCR-ABL1融合遺伝子は慢性骨髄性白血病の90%以上 , 急性リンパ性白血病の20%の症例で見出される
2. 核酸の純度を判定する際に用いられる吸光度の波長は260 nmと280 nmである
- 核酸塩基の吸収極大波長は260 nm付近に存在し , 芳香族アミノ酸の吸収極大波長は280 nm付近に存在する
3. 分染法-染色部位
- C染色法-動原体 ( セントロメア )
- G染色法-アデニン-チミン塩基対優位部が濃染する
- NOR染色法-核小体 ( 仁 ) 形成部分
- Q染色法-アデニン-チミン塩基対優位部 , 特に Y染色体の長腕末端部分
- R染色法-グアニン-シトシン塩基対優位部 ( Gバンド分染法およびQバンド分染法と濃淡が逆転する ) , 不活化X染色体
- ヘテロクロマチンはセントロメア領域およびテロメア付近に偏在している
4. 幼稚園で肛囲検査法 ( セロファンテープ法 ) による虫卵検査をおこない , 1人の園児から虫卵が検出された. 虫卵の写真を示す.
- 柿の種のような特徴的な形状を有する蟯虫卵の写真である
- 蟯虫感染は陽性者への抗蠕虫薬投与と陽性者家族の寝具の日光消毒 ( 蟯虫は肛門括約筋が弛緩する睡眠時に肛門周囲に出現し , 産卵するため ) などの対策が有用である
- 蟯虫は手指や寝具を介して経口感染する
5. トキソプラズマ
- ネコが終宿主である
- 細胞内寄生原虫である
- 大部分は不顕性感染である
- 妊娠中の初感染により経胎盤感染が起こる
- トキソプラズマIgM抗体が高ければ初感染を疑う
- ネコの腸管上皮細胞および中間宿主のマクロファージに細胞内寄生する
6. 感染症-媒介生物
- デング熱-蚊 ( ネッタイシマカやヒトスジシマカ )
- マラリア-蚊 ( ハマダラカ )
- 日本紅斑熱-マダニ
- レプトスピラ症-ネズミ
- 皮膚リーシュマニア症-サシチョウバエ
7. 遺伝病-遺伝形式
- 血友病B-X染色体連鎖劣性遺伝 ( 伴性劣性遺伝 )
- 鎌状赤血球症-常染色体劣性遺伝 ( 常染色体不完全優性遺伝 )
- β-サラセミア-常染色体優性遺伝
- Huntington病-常染色体優性遺伝
- フェニルケトン尿症-常染色体劣性遺伝
8. 染色体標本の作製では , 細胞周期を開始させたのち分裂中期にコルセミド処理 ( 有糸分裂阻害 ) をおこない , 細胞周期を停止させて染色体が出現している細胞を観察する
- 細胞周期は G1期 ( DNA合成準備期 ) → S期 ( DNA合成期 ) → G2期 ( 分裂準備期 ) → M期 ( 分裂期 ) の流れで進み , M期 ( 分裂期 ) 以外を間期という
9. 尿沈査の無染色標本
- ビリルビン結晶である
- ビリルビン結晶は胆管癌などの肝・胆道系疾患でみられる
- 痛風では尿酸結晶が , シスチン尿症ではシスチン結晶が , 発作性夜間ヘモグロビン尿症 ( PNH ) ではヘモジデリンが , アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症では2 , 8ジヒドロキシアデニン結晶が認められる
10. 糖尿病性腎症の早期発見に有用な尿検査項目はアルブミンである
- 試験紙法などでは測定できない微量のアルブミンを検出する微量アルブミン検査が有用である
11. 細胞内液において最も多い陽イオンはK+ , 最も多い陰イオンはHPO42-である
- 細胞外液において最も多い陽イオンはNa+ , 最も多い陰イオンはCl-である
12. Klinefelter症候群は染色体検査で診断が可能である
- Alzheimer型認知症・Gaucher病・Huntington病・Lesch-Nyhan症候群は遺伝子検査が有用である
13. Basedow病 ( 甲状腺機能亢進症 )
- 女性に多い
- 頻脈を認める
- TSHが低値である
- びまん性甲状腺腫を認める
- Basedow病では一般的に総コレステロールは低下する傾向にあるが , 例外も多い
14. IgA腎症
- 男性に多い
- 血圧が上昇する
- 血尿が認められる
- 慢性の経過をとることが多い
15. 大動脈弁閉鎖不全の診断にはカラードプラ法を用いた心エコー検査が必要である
- 異型狭心症・Brugada症候群・発作性心房細動・発作性上室頻拍の診断にはHolter心電図が有用である
16. 心臓超音波検査で肺動脈弁が観察されるのは大動脈弁レベル短軸像や胸骨左縁長軸像 ( 右室流出路長軸断面像 ) である
- 肺動脈弁は右室から肺動脈への血液の流出路にある3枚からなる弁である
17. 胸部誘導心電図
- Ⅲ度房室ブロックである
- 徐脈を呈し , P波とQRS波が独立してそれぞれ一定の間隔で出現するのはⅢ度 ( 完全 ) 房室ブロックの特徴である
- 洞房ブロックではP波の消失がみられ , Ⅰ度房室ブロックではPQ時間が 0.21秒以上に延長し , Wenckebach型房室ブロックではPQ時間が徐々に延長したのちにQRS波が脱落し , MobitzⅡ型房室ブロックでは突然QRS波が消失する
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18. 1気圧の大気を吸入した時 , Pao2 88 Torr , Paco2 40 Torr の結果が得られ呼吸商が0.8の場合 , 肺胞気動脈血酸素分圧較差 [ Torr ] は11となる
- 肺胞気動脈血酸素分圧較差 ( A-aDO2 ) = 肺胞気酸素分圧 ( PAO2 ) - 動脈血酸素分圧 ( PaO2 ) により求められる
- 肺胞気酸素分圧 ( PAO2 ) = 吸入気酸素分圧 ( PlO2 ) × 吸入気酸素濃度 - 動脈血二酸化炭素分圧 ( Paco2 ) / 呼吸商 ( R )
- 吸入気酸素分圧 ( PlO2 ) = 大気圧 ( PB ) - 水蒸気圧 ( PH2O )
- したがって , 1気圧760 Torr で呼吸商が0.8のとき
A-aDO2=[ ( PB-PH2O ) ×0.209-Paco2 / R ]-Pao2
=[ ( 760-47 ) ×0.209-40 / 0.8 ]-88=11
となる
※ 試験問題の選択肢では最も近い12が正答
19. 簡易型終夜睡眠ポリグラフィでは動脈血酸素飽和度 ( SpO2 ) ・鼻気流・脈拍数・胸郭運動が記録できる
- 簡易型終夜睡眠ポリグラフィでは眼電図は記録できない
- “簡易ではない”終夜睡眠ポリグラフィでは脳波や眼球運動が測定できるため , 睡眠段階を求めることができる
20. 特発性肺線維症の肺機能検査値
- %VC ( %肺活量 ) -80%未満 ( 低下 )
- %FVC ( %努力肺活量 ) -低下
- %FRC ( %機能的残気量 ) -低下
- %TLC ( %全肺気量 ) -低下
- 肺線維症では気道閉塞を伴わないため , FEV1% ( 1秒率:基準値70%以上 ) の低下は通常みられない
画像の出典:臨床検査技師国家試験 第66回 午後 別冊
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