1. EDTA-2K採血管で採取した血漿の測定値
- ALP−血清より低くなる
- Ca−血清より低くなる
- CRP−血清と変わらない
- Mg−血清より低くなる
- TP−血清より高くなる
- EDTAは2価の金属イオンを不活化するキレート剤であるため , 活性に金属イオンが必要となる酵素 ( 活性中心にZn2+を含むALPなど ) や金属イオン ( Mg2+やCa2+ ) はEDTA採血管で採取した血漿では低値となる
- 血漿は抗凝固剤 ( EDTAなど ) により血液凝固を阻止して得られる上清であるため , 血液凝固に関与する蛋白質 ( フィブリノゲンや凝固因子 ) が消費されずに含まれている → これらの蛋白質が血液凝固により消費される血清と比較すると血漿では総蛋白 ( TP ) が高くなる
2. パニック値
- K 2.5 mmol / L以下 , 6.5 mmol / L以上
- Na 120 mmol / L以下 , 160 mmol / L以上
- Ca 6.0 mmol / L以下 , 12.0 mmol / L以上
- 血小板 3万 / μL以下 , 100万 / μL以上
- ヘモグロビン 5.0 g / dL以下
- LDは多くの施設でパニック値の設定がない
3. クレアチニン ( 酵素法 ) の内部精度管理図 ( x̄管理図 ) を示す.
- 数値が徐々に低下している → 系統誤差 ( 数値の変化に一定の傾向がある誤差 )
- 系統誤差を示す原因として使用期限が切れた試薬 ( 劣化した試薬 ) で測定することなどが挙げられる
- 第1試薬と第2試薬を逆にして測定すること , 管理試薬の溶解液量の間違い , 標準物質濃度の間違いなどは偶発誤差に含まれる
- 系統誤差:分析装置の変更 , 試薬ロット変更 , 劣化した試薬 , 標準液の作成ミスなど
- 偶発誤差:比色時の気泡混入 , ピペットの操作ミスなど
4. 尿沈渣の無染色標本およびSternheimer染色標本
- この構造物は上皮円柱である
- 尿細管上皮細胞を円柱内に3個以上認める場合は上皮円柱とされる
5. エキノコックス〈多包条虫〉( 終宿主:キタキツネ ) は人獣共通感染症である
- 蟯虫・ズビニ鉤虫・マラリアはヒトを固有宿主とし , ヒト以外の動物宿主を必要としない
- ガンビアトリパノソーマは家畜動物への感染はまれである
6. 61歳の女性. 有機農業従事者 , 腹痛で来院し , 虫卵検査をおこなった. 糞便の直接塗抹標本を示す.
- 回虫卵 ( 回虫受精卵 ) が考えられる
7. コンパニオン検査は分子標的薬の有効性の予測や , 医薬品の副作用リスクを評価する目的で腫瘍の遺伝子異常の有無を検査する
- 薬局で個人購入できるのはOTC検査薬である
- ベッドサイドで結果を評価できるのはPOCT検査の特徴である
8. 標準予防策 ( スタンダード・プリコーション )
- 標準予防策は汗を除くすべての血液 , 体液 , 分泌物 , 排泄物 , 創傷のある皮膚や粘膜は感染性微生物を含んでいる可能性があるという原則に基づいておこなわれる予防策である
- 帯状疱疹 , 結核 , 麻疹などの空気感染する病原体は標準予防策に加えて追加の感染予防策 ( 感染経路別予防策 ) が必要である
9. 血液や髄液などの本来無菌である材料から培養検査で細菌が検出された場合 , その細菌が起炎菌である可能性が高い
- 便や喀痰などの常在菌が混入する材料からの細菌の検出は菌種や炎症所見などから起炎菌であるかを判断する必要がある
10. 臥位に比べて座位で採血したときに高値となる血清成分にアルブミンや総蛋白 , カルシウムなどがある
- 臥位から座位になることで毛細血管圧と膠質浸透圧が変化し , 水分が血管内から間質へ移動するため , 蛋白質やアルブミン , 一部がアルブミンと結合しているカルシウム , 細胞成分の濃度が上昇する
11. WPW症候群に合併しやすいのは発作性上室頻拍である
- WPW症候群は房室結節と心房心室間に存在するケント束 ( 副伝導路 ) を介したリエントリー回路が発生することにより発作性上室頻拍を引き起こす
12. 遺伝子変異
- Lynch症候群−ミスマッチ修復遺伝子異常
- 家族性大腸腺腫症−ACP遺伝子変異
- Li-Fraumeni症候群−TP53遺伝子変異
- von Hippel-Lindau病−VHL遺伝子変異
- 遺伝性乳がん卵巣がん症候群−BRCA1 / 2遺伝子変異
13. 巨赤芽球性貧血・再生不良性貧血・骨髄異形成症候群などでは汎血球減少を呈する
- 汎血球減少は赤血球 , 白血球 , 血小板の3系統すべての血球が減少した状態を指す
14. 末期慢性腎不全で認められる所見
- 高リン血症
- 高カリウム血症
- 低カルシウム血症
- 低ナトリウム血症
- 高マグネシウム血症
15. メタボリックシンドロームの診断基準
① 腹囲 ( 男性:85 cm以上 , 女性:90 cm以上 )
② 空腹時血糖値 ( 110 mg / dl以上 )
③ 血圧 ( 収縮期血圧:130 mmHg以上 , 拡張期血圧:85 mmHg以上 )
④ トリグリセライド値 ( 150 mg / dl以上 )
⑤ HDLコレステロール値 ( 40 mg / dl未満 )
- ①に該当した上で②~⑤の項目に2つ以上該当した場合 , メタボリックシンドロームと判定される
16. 筋電図検査はシールドルームでおこなうことが望ましい
- 聴力検査は防音室など雑音が少ない場所でおこなうことが望ましい
17. 心電図波形
- 筋電図の混入が認められるため , 患者に力を抜いてもらう
- アースの接続の確認 , 電動ベッドの電源を抜く , 電極と誘導コードの接続を確認する必要があるのは交流障害が生じた場合である
18. 動脈管開存症に特徴的な心雑音は連続性雑音である
- 僧帽弁閉鎖不全症では全収縮期雑音 , 大動脈弁閉鎖不全症では拡張早期雑音 , 三尖弁閉鎖不全症では全収縮期雑音を認める
19. フローボリューム曲線を示す. 1秒量は1.08 Lであった.
- 1秒率は約35%である
- フローボリューム曲線から努力肺活量 ( FVC ) が3 L以上かつ3.25 L未満であることが読み取れる
- 1秒率 ( % ) は1秒量 / 努力肺活量 ( FVC ) であるため , 1.08÷3.0=36% と1.08÷3.25=33.2%の間であるといえる
20. 体プレスチモグラフによる機能的残気量の測定原理はBoyle-Charlesの法則である
- 機能的残気量は体プレスチモグラフ法のほかガス希釈法 ( Heを指示ガスとする閉鎖回路法・N2を指示ガスとする解放回路法 ) でも測定できる
- 残気量と全肺気量は機能的残気量を測定することにより算出できる
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画像の出典:臨床検査技師国家試験 第69回 午前 別冊