第70回 ( 2024年 ) 解説 PM61~PM80

臨床検査技師国家試験第70回 ( 2024年 )
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61. ヘモグロビン酸素解離曲線

  • 矢印の方向に曲線が移動 ( 左方移動 ) したときの患者の状態はpH上昇・代謝低下・体温低下・PaCO2低下・2,3-ジフォスフォグリセリン酸 ( DPG ) 濃度低下である

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ヘモグロビン酸素解離曲線
 右方移動左方移動
pH低下上昇
代謝亢進低下
体温上昇低下
PaCO2上昇低下
2,3-DPG上昇低下

62. 第Ⅹ因子活性化第Ⅱ因子 ( プロトロンビン ) 活性化にはリン脂質を必要とする

  • 第Ⅹ因子活性化と第Ⅱ因子 ( プロトロンビン ) 活性化はともにリン脂質上で関連凝固因子 , Caイオンが複合体を形成することで進行する

63. 凝固検査に異常をきたす疾患

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 PTAPTT血小板数出血時間( Duke法で15分以内で正常通常は3分以下 ) 
血小板無力症先天性第ⅩⅢ因子欠乏症正常正常正常延長
von Willebrand ( 重症型 )正常延長正常延長
血友病A・血友病B先天性第ⅩI因子欠乏症 ( 血友病C )抗リン脂質抗体症候群先天性第Ⅻ因子欠乏症正常延長正常正常
先天性プロトロンビン欠乏症延長延長正常正常
先天性第Ⅴ因子欠乏症先天性第Ⅹ因子欠乏症ビタミンK欠乏症延長延長正常延長
先天性第Ⅶ因子欠乏症延長正常正常延長

※ 先天性凝固因子欠乏症における出血時間は止血後に再出血がなければ正常とされる場合がある

64. 緩衝食塩溶液の希釈系列に検体A ( ヘパリン血 ) を滴下後37℃で2時間静置した. その溶血度 ( % ) と食塩濃度 ( % ) の関係を示す.

  • 鉄欠乏性貧血が考えられる
  • 赤血球浸透圧抵抗試験の結果であり , 健常検体と比べて低張食塩水に対する抵抗が減弱している場合は右側に曲線が , 増強している場合は左側に曲線が存在することになる
  • 赤血球の表面積 / 容積比によって規定され , 比が小さいとき ( 抵抗性が低下 ) には遺伝性球状赤血球症などが考えられ , 比が大きいとき ( 抵抗性が増強 ) には鉄欠乏性貧血などが考えられる

65. 異常所見−疾患

  • Auer小体−急性骨髄性白血病
  • Dohle小体−重症感染症
  • Russell小体−多発性骨髄腫
  • 核の過分節−巨赤芽球性貧血
  • 偽Pelger核異常−骨髄異形成症候群
    • Russell小体は形質細胞の粗面小胞体内部で免疫グロブリンが結晶様となった封入体のことである

66. BCR-ABL1融合遺伝子は慢性骨髄性白血病の90%以上 , 急性リンパ性白血病の20%の症例で見出される

  • 9番染色体長腕に座位するABL1遺伝子と22番染色体長腕に座位するBCR遺伝子との相互転座によりBCR-ABL1融合遺伝子が形成される

67. 3種類の濃度のADPを用いた血小板凝集能検査 ( 透過光法 ) の結果を示す.

  • Aでは一度できた血小板凝集が乖離している
  • Bでは二次凝集が起きている
  • Cでは強い血小板凝集が惹起されている
  • 血小板は膜上蛋白であるGPⅡb / Ⅲa複合体がフィブリノゲンと結合し , それを介して血小板同士が互いに凝集し血栓を形成する
  • トロンボキサンA2は血小板活性化とともに放出される
  • プロスタサイクリンは血小板活性化を抑制する作用がある
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68. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 ( MRSA ) 

  • mecA遺伝子を保有する
  • 院内感染型と市中感染型がある
  • 治療にはバンコマイシンが用いられる
  • 判定にはセフォキシチンが用いられる
    • メチシリン耐性の判定にはセフォキシチンとオキサシリンが用いられる
    • 基質拡張型β-ラクタマーゼ ( ESBL ) を産生するのは腸内細菌科細菌である

69. 皮膚病変部より分離した真菌のスライド培養のラクトフェノールコットンブルー染色標本を示す.

  • Microsporumが考えられる
  • 先端が尖った紡錘形の大分生子で細胞壁が厚く棘が目立つのが特徴である
  • Microsporum canisは猫や犬からヒトに感染することもあり , 皮膚糸状菌症の原因となる

70. Acinetobacter

  • 運動性は陰性である
  • ブドウ糖非発酵である
  • 偏性好気性菌である
  • グラム陰性桿菌である
  • チトクロムオキシダーゼテスト陰性を示す

71. 鞭毛の形態

  • Burkholderia cepacia−極多毛
  • Campylobacter jejuni−両単毛 ( ときに極単毛 )
  • Pseudomonas aeruginosa−極単毛
  • Vibrio cholerae−極単毛
    • Klebsiella pneumoniaeは鞭毛を持たない

72. 病原菌−選択培地

  • Mycoplasma pneumoniae−PPLO培地
  • Neisseria gonorrhoeae−Thayer-Martin寒天培地
  • Pseudomonas aeruginosa−NAC寒天培地
  • Shigella sonnei−SS寒天培地
  • Vibrio parahaemolyticus−TCBS寒天培地

73. 毒素型食中毒と感染型食中毒

  • Campylobacter jejuni−感染型
  • Listeria monocytogenes−感染型
  • Shigella dysenteriae−感染型
  • Staphylococcus aureus−毒素型 ( エンテロトキシン )
  • Vibrio parahaemolyticus−感染型
    • 毒素型食中毒には食品内で細菌が増殖し産生された毒素が原因物質となり食中毒症状を引き起こす食品内毒素型と摂取された細菌が腸管内で増殖し , 産生された毒素が原因物質となり食中毒症状を起こす生体内毒素型がある
    • 食品内毒素型食中毒原因菌にはStaphylococcus aureusのほか , Clostridium botulinumBacillus cereus ( 嘔吐型 ) などがある
    • 生体内毒素型食中毒原因菌にはO-157に代表される腸管出血性大腸菌 ( EHEC ) やClostridium perfringens ( ウェルシュ菌 ) , Bacillus cereus ( 下痢型 ) などがある

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細菌性食中毒
感染型Campylobacter属・Salmonella属・Vibrio属・Shigella属 など
食品内毒素型Staphylococcus aureus:エンテロトキシンClostridium botulinum:ボツリヌストキシンBacillus cereus ( 嘔吐型 ):セレウリド など
生体内毒素型O-157などの腸管出血性大腸菌 ( EHEC ):ベロトキシンClostridium perfringens ( ウェルシュ菌 ):エンテロトキシン Bacillus cereus ( 下痢型 ):エンテロトキシン など

74. Serratia marcescensの生化学的性状

  • VP反応−陽性
  • DNase試験−陽性
  • 運動性テスト−陽性
  • リジン脱炭酸試験−陽性
  • オルニチン脱炭酸試験−陽性
    • インドール反応 , IPA反応は陰性である
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75. ウイルス−核酸

  • B型肝炎ウイルス−DNAウイルス
  • ムンプスウイルス−RNAウイルス
  • サイトメガロウイルス−DNAウイルス
  • ヒト免疫不全ウイルス−RNAウイルス
  • インフルエンザウイルス−RNAウイルス

76. 試薬と関連する試験

  • 過酸化水素水−カタラーゼテスト
  • 水酸化カリウム−VPテスト ( B液 )
  • α-ナフトール・アルコール−VPテスト ( A液 )
  • p−ジメチルアミノベンツアルデヒド−インドールテスト
  • テトラメチルパラフェニレンジアミン塩酸塩−オキシダーゼテスト

77. 培養に用いる検体は ( 雑菌の増殖を抑えるため ) 冷蔵保存が一般的であるが , 低温で死滅しやすいNeisseria meningitidis ( 髄膜炎菌 ) が目的菌となる髄液は室温または孵卵器で保管する

  • 血液培養ボトルの場合も室温または孵卵器で保管する
  • 尿バッグから採取された尿は貯留するまでに時間が経っており雑菌が繁殖しているため培養に適した検体とは言えない
  • ホルマリン処理された組織などの検体もホルマリンで菌が死滅しているため培養には用いることができない

78. 消毒液−水準

  • 過酢酸−高水準
  • ポビドンヨード−中水準
  • クロルヘキシジン−低水準
  • グルタルアルデヒド−高水準
  • 次亜塩素酸ナトリウム−中水準

79. サイトカイン−機能

  • インターロイキン−1 ( IL-1 ) −T細胞の活性化・他のサイトカインの産生誘導
  • インターロイキン−6 ( IL-6 ) −CRPの産生・Bリンパ球の分化などに関与
  • インターロイキン−8 ( IL-8 ) −好中球の遊走活性化
  • インターロイキン−10 ( IL-10 ) −抗炎症性に作用 ( マクロファージの活性化抑制 )
  • 腫瘍壊死因子-α ( TNF-α ) −腫瘍細胞増殖抑制・NK細胞やマクロファージの活性化

80. ABO血液型が ( 一時的に ) 後天的変化を示す原因として急性骨髄性白血病によるA ( B ) 抗原の減弱や細菌感染による後天性B , 異型輸血などが挙げられる

  • 造血幹細胞移植後はドナーの血液型に変化する ( 終生 )

■ 続きの解説は《 こちら

画像の出典:臨床検査技師国家試験 第70回 午後 別冊

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