第62回 ( 2016年 ) 解説 AM1~AM20

臨床検査技師国家試験第62回 ( 2016年 )
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1. 特定の薬剤の効果や副作用を投与前に予測するための検査をコンパニオン検査という

  • 一部の癌治療に用いられる分子標的薬 ( トラスツズマブの適応をみるHER2遺伝子検査など ) の効果を調べる検査などが該当する

2. ISO 15189 による臨床検査室の継続的な品質管理の4つのサイクルは計画 ( plan ) ,分析・評価 ( check ) , 検査実施・精度管理 ( do ) ,対応策実施 ( action ) のPCDAサイクルである

  • 施設間比較 ( comparison ) は含まれない

3. 検査部門の管理と運営

  • 測定装置や機器はメンテナンスが必要である
  • 採血後の針はリキャップせずに廃棄する
  • 検査終了後の血液は感染性産業廃棄物として廃棄する
  • 外来採血時の呼び出しはプライバシー保護の観点から患者名でなくともよい
  • 検査マニュアルは検査の手順についてまとめたものである

4. 髄液採取時の出血で検体中に血液が混入したとき ,1μl中の髄液実細胞数をA・髄液赤血球数をB・末梢血赤血球数をC・末梢血白血球数をDとすると赤血球補正による髄液細胞数算定の式はA-B×D / Cと表すことができる

5. 尿検体を室温で6時間放置した場合の変化

  • pHは細菌が産生するウレアーゼにより尿素が分解されアンモニアが発生しアルカリ化する
  • 比重は濃縮により高値 ( 1.030以上 ) になる
  • ブドウ糖は増殖した細菌に消費されて減少する
  • ビリルビンはビリベルジンに変化して減少する
  • 尿沈査中の赤血球は崩壊により減少する

6. トキソプラズマトリパノソーマは血液中に存在するため , 輸血で感染しうる

  • Lambl鞭毛虫・赤痢アメーバ・クリプトスポリジウムは消化管に感染する

7. 19歳女性 ,5日前から1日おきの周期的な発熱を認め渡航者外来を受診した.

末梢血のGimesa染色薄層塗抹標本

第62回午前問7画像
  • この患者が罹患した感染症は三日熱マラリアである
  • 海外渡航者の1日おきの周期 ( 48時間周期 ) の発熱 ,シェフナー斑点を認めるアメーバ型原虫による感染赤血球から三日熱マラリアが考えられる
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8. 皮膚に付着していた虫体 ( 体長0.4 mm ) の写真

第62回午前問8画像
  • 疥癬を媒介するヒゼンダニである
  • ライム病と重症熱性血小板減少症候群はマダニが , 発疹チフスはシラミが , ツツガムシ病はダニ ( ツツガムシ ) が媒介する

9. DNAのシークエンス解析に用いるものとしてプライマー ( DNAを合成する際に3 ‘ OHを供給する役割をもつ短い核酸の断片 ) ・DNAポリメラーゼ ( DNA複製を触媒する ) ・デオキシヌクレオシド三リン酸 ( dNTP ) ・蛍光標識ジデオキシヌクレオシド三リン酸などがある

  • 逆転写酵素を用いるのはRT-PCR法である

10. 遺伝病-遺伝形式

  • 血友病-伴性劣性遺伝 ( X連鎖劣性遺伝 )
  • 鎌状赤血球症-常染色体劣性遺伝 ( 常染色体不完全優性遺伝 )
  • 尋常性魚鱗癬-常染色体優性遺伝
  • Huntington病常染色体優性遺伝
  • フェニルケトン尿症常染色体劣性遺伝

11. Fallot四徴症でみられるのは右室肥大・心室中隔欠損・肺動脈狭窄・心室中隔への大動脈騎乗である

  • Fallot ( ファロー ) 四徴症は難病の先天性心疾患である

12. 甲状腺機能低下症は高コレステロール血症を合併しやすい

  • 甲状腺機能低下症は同時にCK高値の所見もみられることが多い
  • 甲状腺機能亢進症では , コレステロール ( LDL-コレステロール ) およびCKは低値となる

13. 動脈硬化性疾患予防ガイドラインに基づく脂質異常症の診断

  • 食後は血中トリグリセライドが上昇するためLDL-コレステロールの算出にFriedewald式は有用でない ( 食後は負誤差となる )
  • HDL-コレステロール40 mg / dl未満は低HDL-コレステロール血症である
  • LDL-コレステロール140 mg / dl以上は高LDL-コレステロール血症である
  • 食後の検体ではnon-HDL-コレステロールによる評価が有用である
  • トリグリセライドが150 mg / dl以上は高トリグリセライド血症である

14. 痰の検体のGram染色所見で赤色の球菌がみられた場合 ,可能性のある細菌はMoraxella catarrhalisである

  • 赤色の球菌 ( グラム陰性球菌 ) がみられた場合 ,呼吸器系由来材料であればMoraxella catarrhalisを ,脳脊髄液由来材料であればNeisseria meningitidis ( 髄膜炎菌 ) を , 泌尿生殖器系由来材料であればNeisseria gonorrhoeae ( 淋菌 ) を疑う
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15. 膠原病-自己抗体

  • Sjögren症候群-抗SS-A抗体・抗SS-B抗体
  • 関節リウマチ < RA > -リウマトイド因子・抗CCP抗体
  • 強皮症抗Scl-70抗体
  • 混合性結合組織病 < MCTD > -抗U-1-RNP抗体
  • 全身性エリテマトーデス < SLE > -抗Sm抗体・抗DNA抗体
    • 抗Jo-1抗体は皮膚筋炎・多発性筋炎の診断に有用である

16. 心周期で心室収縮期は等容収縮期駆出期である

  • 等容弛緩期・急速充満期・緩速充満期は心室拡張期である

17. 心電図所見

第62回午前問17画像
  • 心房粗動である
  • 心房粗動では鋸歯状波がみられる
好酸球
好酸球

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18. 血圧測定結果から足関節上腕血圧比 < ABI > を算出

右側の足関節上腕血圧比 < ABI > は1.00である

第62回午前問18画像
  • 足関節上腕血圧比 < ABI > =足関節の収縮期圧 / 上腕の収縮期圧
  • 足関節は算出したい左右片方ずつの値を用いて計算し ,上腕は左右でより高いほうの値を用いて計算する

19. 各種ガスの体内における移動

  • 赤血球は酸素と二酸化炭素の運搬に関与する
  • 一酸化炭素の肺拡散能は酸素と同等である
  • 酸素は主に赤血球中のヘモグロビンと結合している
  • 一酸化炭素のヘモグロビン親和性は酸素より高い
  • 酸素解離曲線の右方シフトは末梢組織における酸素解離を促進する

20. Gaenslerの一秒率は 一秒量 / 努力肺活量 で算出する

  • Tiffeneauの一秒率は 一秒量 / 肺活量 で算出する

画像の出典:臨床検査技師国家試験 第62回 午前 別冊

■ 続きの解説は《 こちら

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