61. トロンボモジュリンは抗血栓性に作用する
- トロンボモジュリンに結合したトロンビンの作用としてプロテインC活性化がある
62. ビタミンK依存性凝固因子は第Ⅱ ,Ⅶ ,Ⅸ ,Ⅹ因子の4つ ,ビタミンK依存性凝固制御因子はプロテインCとプロテインSがある
63. 特殊染色-試薬
- 鉄染色-2%塩酸溶液
- PAS染色-1%過ヨウ素酸溶液
- ペルオキシダーゼ染色-3%過酸化水素水
- 特異的エステラーゼ染色-ナフトールAS-Dクロロアセテート
- アルカリホスファターゼ染色-ナフトールAS-MXホスフェート
64. 20歳男性 ,息切れを主訴に来院した. ヘモグロビン濃度6.0 g / dl ,白血球数1100 / μl ,血小板数1.0万 / μl であった.
骨髄穿刺液のWright-Giemsa染色標本の弱拡大像
- 息切れや末梢血汎血球減少を認め ,骨髄穿刺液標本でも低形成骨髄 ( 脂肪髄 ) を認めるため再生不良性貧血が考えられる
65. 末梢血のWright-Giemsa染色標本
- 中毒性顆粒を有する好中球であり ,敗血症などの重症感染症が考えられる
66. 骨髄穿刺液のWright-Giemsa染色標本 ( No.12 A ) とペルオキシダーゼ染色標本 ( No.12 B )
- 芽球の増加がみられ ,ペルオキシダーゼ染色陽性の結果から急性骨髄性白血病が考えられる
- 骨髄中の細胞全体で芽球が30%以上を占めるものを“急性”白血病とし , ペルオキシダーゼ染色が陽性の芽球が3%以上で急性骨髄性白血病 , 3%未満で急性リンパ性白血病と分類する( FAB分類 )
67. 骨髄異形成症候群 ( MDS ) でみられる好中球の特徴に偽Pelger異常や低顆粒性好中球がある
- このほか , 環状鉄芽球がみられることがある
68. Pneumocystis jiroveciiは真菌に分類されている
- Pneumocystis jiroveciiはニューモシスチス肺炎の原因となる
69. 喀痰のGram染色標本
- Gram染色において矢印で示されているガラス傷の様に抜けて見えるのは抗酸菌であり ,Mycobacterium tuberculosisなどが考えられる
- 抗酸菌の細胞壁に含まれるミコール酸は脂質を含んでいる為 , 水溶性色素の浸透性が悪く , Gram染色では染色されない
70. 嫌気性菌用分離培地として一般的に用いられるのは血液加ブルセラ寒天培地である
- GC寒天培地はNeisseria gonorrhoeaeの薬剤感受性 , B-CYE寒天培地はLegionella属菌の分離 , Löffler ( レフレル ) 培地はCorynebacterium diphtheriaeの分離 , Sabouraud ( サブロー ) 寒天培地は真菌の分離に用いられる
71. 細菌の遺伝物質
- 染色体は核膜で覆われていない ( 原核生物 )
- プラスミドは二本鎖DNAである
- Fプラスミドは性の決定に関与する
- Rプラスミドは接合によって伝達される
- 形質導入とはバクテリオファージを介した現象である
- Rプラスミドは薬剤耐性に関与する
72. 血中薬物モニタリング < TDM > が必要な抗菌薬にバンコマイシン ( グリコペプチド系 ) ・テイコプラニン ( グリコペプチド系 ) ・アミノグリコシド系薬などがある
- このほか , 抗真菌薬のボリコナゾールもTDMの対象である
73. 結核・水痘・麻疹は空気感染予防策が必要となる
- 感染経路別予防策には空気感染予防策・飛沫感染予防策・接触感染予防策の3つがある
74. 長期入院患者が抗菌薬投与中に下痢を発症した場合に最も考えられるのはClostridium difficile関連下痢症 ( 偽膜性大腸炎 ) である
- 抗菌薬の長期使用などによって腸内細菌叢のバランスが崩れ , CDトキシンを産生する Clostridium difficile が異常増殖することによって引き起こされる
75. Salmonella enterica subsp.entericaのserovar Typhiとserovar Paratyphi Aの鑑別に有用な検査はリジン脱炭酸テストである
- Salmonella paratyphi A以外のSalmonella属菌 ( Salmonella Typhi を含む ) はリジン脱炭酸テストおよび硫化水素産生が陽性である
リジン脱炭酸反応 | 硫化水素産生 | |
( Salmonella Typhi を含む ) | ||
76. 皮膚糸状菌にTrichophyton rubrumなどがある
- 皮膚糸状菌はTrichophyton属・Microsporum属・Epidermophyton属の3属に属する
77. 分離培養にチョコレート寒天培地の使用が必要な検体として髄液・喀痰・鼻咽頭粘液・耳漏などがある
- Haemophilus influenzaeなどの栄養要求性が厳しい細菌が検出される可能性がある検体にはチョコレート寒天培地を用いる
78. Legionella pneumophilaとStreptococcus pneumoniaeは尿中抗原検査がおこなわれている
- Streptococcus pneumoniaeは莢膜多糖抗原を , Legionella pneumophilaはリポ多糖体を主成分とする特異抗原を検出する
79. 細菌に対する自然免疫
- Toll様受容体が細菌を認識する
- 好中球は血中から炎症箇所に移動する
- リゾチームは鼻の粘膜でのバリアーとなる
- 補体活性化経路のうち副経路 ( 第二経路 ) が主として働く
- 樹状細胞は抗原提示により獲得免疫への橋渡しをおこなう
80. 抗原
- 異好抗原は完全抗原の一種である
- 不完全抗原はハプテンとも呼ばれる
- BSA < ウシ血清アルブミン > は完全抗原である
- 不完全抗原に対する抗体作製にキャリアが利用される
- 不完全抗原は抗体と結合するが ,分子量が小さいため単独では免疫原性をもたない ( 単独では抗体産生を誘起しない )
画像の出典:臨床検査技師国家試験 第62回 午前 別冊
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