第68回 ( 2022年 ) 解説 AM21~AM40

臨床検査技師国家試験第68回 ( 2022年 )
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21. 視床は体性感覚の伝導路を含む

  • 視床は嗅覚以外の視覚 , 聴覚 , 体性感覚などの感覚入力を大脳新皮質へ中継する
  • 前根および錐体路は運動性経路である , 外側毛体は聴覚の伝導経路である , 外側膝状体は視覚の伝導経路である

22. 正中神経における運動神経伝導検査の模式的な記録波形

図中の破線は正常波形を示す.

  • 軸索変性のパターンはである
  • ①は脱髄による伝導ブロック , ⑤は脱髄による異常な時間的分散のパターンである
  • ③ , ④のように振幅に差がなく , 伝導速度が遅くなるパターンは通常はみられない

23. 64歳の男性. 家族に「 最近ぼーっとしていることが多い 」と指摘され受診した.

脳波を示す.

  • ( Fp1-A1 , Fp2-A2 , F8-A2に ) 棘波がみられる
  • 棘波はてんかんでみられる所見である

24. 脳波-出現する睡眠段階

  • α波-覚醒期
  • 瘤波 ( 頭頂鋭波 ) -入眠期 ( StageⅠ ) の後期から軽睡眠期 ( StageⅡ ) の初期
  • 紡錘波-軽睡眠期 ( StageⅡ )
  • 丘波 ( 徐波 ) -中等度睡眠期 ( StageⅢ ) , 深睡眠期 ( StageⅣ )
    • 睡眠StageⅠから睡眠StageⅡに移行したと判断できる脳波の波形は紡錘波である
    • 軽睡眠期 ( StageⅡ ) に音などの感覚刺激を与えると , K-複合 ( K-complex ) が現れる
    • 低振幅速波は覚醒期や入眠時にみられることがある

25. 心臓超音波像 ( 左室長軸断面像 )

  • 矢印で示すアーチファクトの原因はサイドローブである
  • 左房内にみられる帯状エコーは後尖基部外側の高輝度心嚢膜により生じたサイドローブである
  • 音響陰影は音響インピーダンスが大きく異なる組織を通過する際に組織境界面の前方ではエコーが増強し , 後方では無エコーとなる
  • 鏡面現象は反射体を挟んで等距離に鏡に映したような像が出現する
  • 多重反射は超音波が平行に向かい合った狭い反射体同士の間で何度も反射を繰り返すことによって発生する ( コメットエコーも多重反射の一種 )
  • レンズ効果は超音波の屈折により後方の構造物が二重に表示される

26. 心臓超音波像

  • この像を描出する際の探触子の位置は傍胸骨である
  • 傍胸骨に探触子を置いて観察する左室短軸大動脈弁レベルの画像である
  • 中央に大動脈弁 , 周囲に右心系 , 下面に左房が描出されている

27. 深部静脈血栓症に対する下肢静脈超音波検査では圧迫法 ( 基本の方法 ) ・座位 ( 下腿静脈の観察に有用 ) ・カラードプラ法で用いるミルキング法 ( 足の筋肉を圧迫 , 解放して , 逆流を人工的に発生させる ) ・パルスドプラ法で用いるValsalva法 ( 呼吸法 ) などが実施される

  • 寒冷負荷は深部静脈血栓症に対する下肢静脈超音波検査ではおこなわれない
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28. サーモグラフィ検査の注意点

  • 検査直前の飲食を制限する
  • 測定部位の化粧を落とさせる
  • 検査室の湿度は50%程度に保つ
  • 検査室の温度は25℃程度に保つ
  • 15~30分前の検査室環境への馴化をおこなう

29. 糖新生をおこなう臓器は主として肝臓 , 一部は腎臓でもおこなわれる

  • 糖新生とはグルカゴンの作用によって乳酸や糖原生アミノ酸などの糖質以外の物質からグルコースを合成する代謝経路である

30. 糖尿病の診断基準

糖尿病の診断基準は

  1. 空腹時血糖値 126 mg / dl以上
  2. 75 g経口ブドウ糖負荷試験2時間血糖値 200 mg / dl以上
  3. 随時血糖値 200 mg / dl以上
  4. HbA1c 6.5%以上 ( NGSP値 )

であり ,①~③のいずれかと④が確認された場合に糖尿病と診断される

  • 糖尿病診断基準において「 糖尿病型 」は上記の①~④のいずれかが確認されることにより判定される
  • グリコアルブミンは過去約2週間の平均血糖値を反映し , 血糖コントロールの指標として用いられる

31. ケトン体は3-ヒドロキシ酪酸 ( β-ヒドロキシ酪酸 ) ・アセト酢酸・アセトンの総称である

  • ケトン体は飢餓状態などのグルコースが得られない状態で代替エネルギー源として利用され , 尿中に排泄される

32. 代謝系-調節酵素

  • 糖新生-ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ
  • 脂肪酸合成-アセチルCoAカルボキシラーゼ
  • 解糖系-ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体
  • 解糖系-ヘキソキナーゼ
  • コレステロール合成3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル < HMG > CoA還元酵素

33. ビリルビン代謝

  • ウロビリノゲンは腸肝循環する
  • 間接ビリルビンは還元されてウロビリノゲンになる
  • 直接ビリルビンは腸内細菌により加水分解される
  • δビリルビンは直接ビリルビンにアルブミンが共有結合している
  • ヘムのポルフィリン環はヘムオキシゲナーゼによって開環され , ビリベルジン・一酸化炭素・鉄を生じる

34. 酵素法によるカルシウム測定に用いられる酵素はα-アミラーゼホスホリパーゼDである

  • カルシウムイオンがこれらの酵素の活性化因子として作用することを利用している
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35. 体内の鉄代謝

  • 健常人の総鉄量は約3~4 gである
  • 鉄の約70%はヘモグロビンに含まれる
  • 鉄の約25%はフェリチンと結合し貯蔵される
  • 鉄の貯蔵 , 運搬に関与するトランスフェリンは日内変動しない
  • ミオグロビンは1個のヘムと1個の鉄分子を含む

36. チロシンは芳香族アミノ酸である

  • このほか , トリプトファンやフェニルアラニンも芳香族アミノ酸に該当する
  • リジンは塩基性アミノ酸 , アラニンとイソロイシンは脂肪族アミノ酸 , システインは含硫アミノ酸である

37. 尿素回路

  • 肝臓に存在する
  • ATPを消費する
  • アンモニアを無毒化する
  • 律速酵素はカルバモイルリン酸合成酵素である
    • ATPを産生し , ピルビン酸を必要とするのはクエン酸回路 ( TCA回路 ) である

38. 生化学自動分析装置の検出部に後分光方式を用いることで可能となるのは二波長法での測定である

  • 二波長測定では検体の濁りや反応セルの汚れなどの影響を軽減できる

39. 血清ナトリウムイオンの測定に使用される電極にガラス電極クラウンエーテル電極がある

  • カリウムイオンの測定に使用される電極にはクラウンエーテル電極やバリノマイシン電極がある
  • 第4級アンモニウム塩電極はクロールの測定に用いられる

40. 血清中の総コレステロール値が225 mg / dL , HDL-コレステロール値が45 mg / dL , トリグリセライド値が250 mg / dLであった.

  • Friedewald式によるLDL-コレステロール値は130 mg / dLである
  • Friedewald式は

LDL-コレステロール= ( 総コレステロール ) - ( HDL-コレステロール ) - ( トリグリセライド / 5 ) であり

  • 上記の問題では 225-45-250 / 5=130 となる

画像の出典:臨床検査技師国家試験 第68回 午前 別冊

■ 続きの解説は《 こちら

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