1. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 < 感染症法 >
- マラリア-4類感染症
- アメーバ赤痢-5類感染症 ( 全数把握 )
- ジアルジア症-5類感染症 ( 全数把握 )
- エキノコックス症-4類感染症
- クリプトスポリジウム症-5類感染症 ( 全数把握 )
2. 統計的にブランク試料と区別しうる最低濃度を指すのは検出限界である
- 測定誤差があらかじめ設定した許容誤差範囲となる最小の試料濃度を指すのは定量限界である
3. 採取後室温で長時間放置された尿の検査結果への影響
- pH-細菌の尿酸分解によるアンモニアの発生により上昇
- ケトン体-揮発により減少
- ブドウ糖- ( 増殖した ) 細菌の消費により減少
- ビリルビン-酸素により酸化され減少
- ウロビリノゲン-酸素により酸化され減少
4. 尿路系の出血部位を推定できる尿検査は変形赤血球の観察である
- 変形赤血球は糸球体からの出血を示唆する
5. マラリアはヒトを中間宿主とする
第1中間宿主 | 第2中間宿主 | 終宿主 | |
マラリア | ヒト | なし | ハマダラカ |
蟯虫 | なし | なし | ヒト |
横川吸虫 | カワニナ | アユ・フナ | ヒト・イヌ |
日本海裂頭条虫 | ケンミジンコ | マス・サケ | ヒト |
Manson裂頭条虫 | ケンミジンコ | ヘビ・カエル | ネコ・イヌ |
6. 糸状虫 , 糞線虫 , 住血吸虫などは経皮感染をする寄生虫である ( ※ )
※ 解複数 ( 選択肢を2つ選ぶ問に対して解が3つ ) の問題
- 回虫やアニサキスは経口感染する寄生虫である
7. 46歳の男性. 主訴は腹部不快感. 現病歴として , 外国旅行中に加熱不十分の牛ステーキを食べ , 帰国して3カ月後 , 肛門周囲から条虫の肉厚の片節が1個ずつ分離して排出され , 糞便中で動いていた. 虫体の写真を示す.
- 加熱不十分な牛肉の喫食で運動性の高い縦長の片節の排出から考えられる診断は無鉤条虫症である
8. 検査法-目的
- Schlesinger法-便中ウロビリン体定性試験
- セロファンテープ法-蟯虫検査
- 便中ヘモグロビン定量-大腸がん検査
- 糞便塗抹SudanⅢ染色-脂肪吸収不良検査
- ホルマリン・エーテル法 < MGL法 > -寄生虫集卵検査
- 鞭虫卵の検出には遠心沈殿集卵法が用いられている
9. Real-time PCR法はプライマーとプローブの両方を用いる
- Real-time PCR法は遺伝子定量や遺伝子変異解析に用いられる
10. 分染法-染色部位
- Cバンド分染法-動原体 ( セントロメア ) 部位を選択的に染め分ける
- Gバンド分染法-アデニン-チミン ( AT ) 塩基対優位部が濃染する
- NOR分染法-核小体 ( 仁 ) 形成部分を選択的に染め分ける
- Qバンド分染法-アデニン-チミン ( AT ) 塩基対優位部が濃染する , 特に Y染色体の長腕末端部分
- Rバンド分染法-グアニン-シトシン ( GC ) 塩基対優位部が濃染する , 不活化X染色体の識別
11. ADH不適合分泌症候群 < SIADH >
- 尿量減少による溢水がみられる
- 尿浸透圧が高い
- 意識障害を生じる
- 低ナトリウム血症がみられる
- 病因として肺小細胞癌がある
- 脱水はみられない
12. 高リン血症・高カリウム血症・低カルシウム血症は慢性腎不全で認められる電解質異常である
- 慢性腎不全ではカリウムとリンの排泄が低下することにより高カリウム血症と高リン血症 , 腎臓でのビタミンD3の活性化が低下することにより腸管からのカルシウムの吸収が低下し , 低カルシウム血症をきたす
- 高リン血症と低カルシウム血症を代償する作用のあるPTHが過剰産生され , 二次性副甲状腺機能亢進症に至る
13. 血球貪食症候群
- 血小板数-低値
- 白血球数-低値
- 血清フェリチン-高値
- 血漿フィブリノゲン-低値
- 血清トリグリセライド-高値
14. 酸塩基平衡
pH | 7.32 | 基準値:7.35~7.45 |
Paco2 | 27 Torr | 基準値:35~45 Torr |
HCO3- | 13 mmol / L | 基準値:22~26 mmol / L |
Na+ | 138 mmol / L | 基準値:135~145 mmol / L |
K+ | 4.5 mmol / L | 基準値:3.5~5.0 mmol / L |
Cl- | 102 mmol / L | 基準値:98~108 mmol / L |
の結果から考えられるのは糖尿病性ケトアシドーシスである
- 代謝性アシドーシスはアニオンギャップ ( AG ) の値 ( 正常 or 高値 ) により2種類に分けることができる
- アニオンギャップ ( AG ) は [ Na+] - ( [ Cl-] + [ HCO3-] ) により算出することができ , 上記の場合では138- ( 13+102 ) =23となり , AG ( 基準値:12±2 mmol / L ) が上昇しているため , 高アニオンギャップ性代謝性アシドーシスが考えられる
- 糖尿病性ケトアシドーシス , 乳酸アシドーシス , 尿毒症 ( 末期腎不全 ※ ) はアニオンギャップ ( AG ) が上昇する高アニオンギャップ性代謝性アシドーシスである
- 尿細管性アシドーシス・下痢などはアニオンギャップ ( AG ) が正常の代謝性アシドーシスである
※ stage 3後期〜stage 4の腎不全ではAG正常の代謝性アシドーシスを呈し , stage 5の末期腎不全ではAG増加の代謝性アシドーシスを呈する
15. 空腹時血清中の総コレステロール350 mg / dl , トリグリセライド105 mg / dl , HDL-コレステロール49 mg / dlのとき , Friedwaldの計算式から求めたLDL-コレステロール値は280 mg / dlとなる
- Friedwaldの計算式: ( LDL-コレステロール ) = ( 総コレステロール ) - ( HDL-コレステロール ) - ( トリグリセライド / 5 )
- 上記の問題の場合 350-49- ( 105 / 5 ) =280 [ mg / dl ] となる
16. 健常人の心内圧において拡張期と収縮期の差が最も大きいのは左室で拡張期圧は2~12 mmHg , 収縮期圧は100~140 mmHgである
・健常人の心内圧
左室拡張期圧 | 2~12 mmHg |
左室収縮期圧 | 100~140 mmHg |
左房収縮期圧 | 2~12 mmHg |
右房収縮期圧 | 2~8 mmHg |
右室拡張期圧 | 2~8 mmHg |
17. 心電図
- 細動波がみられR-R間隔が不整であることから心房細動が , QRS幅が延長しV1~V2誘導にrsR´パターンを呈していることから完全右脚ブロックが考えられる
18. 運動負荷心電図
- 重症大動脈弁狭窄症は禁忌である
- Masterの2階段試験での負荷量は年齢 , 性別 , 体重で決める
- トレッドミル負荷試験は心電図と血圧を記録する
- 最大予測心拍数は220から年齢を引いた数である
- 運動負荷の中止徴候として持続する10 mmHg以上の血圧低下がある
- このほかの中止基準として , 増大する前胸部痛 , 有意な心電図変化 , 危険な不整脈の出現 , 収縮期血圧250 mmHg以上 , 患者の疲労感による限界や呼吸困難がある
19. 呼吸不全を呈する筋萎縮性側索硬化症 < ALS > の肺機能検査 ( 他の呼吸器疾患の合併はない ) で予想されるのは肺活量減少と肺拡散能 < DLco > 低下である
- 筋萎縮性側索硬化症 < ALS >では呼吸筋の障害により予備吸気量と予備呼気量が低下する
20. フローボリューム曲線
測定項目-検査結果
- V25-0.5 L / 秒
- V50-0.9 L / 秒
- 最大呼気量-2.8 L
- 努力肺活量-4.5 L
- ピークフロー-9.4 L / 秒
- V25・V50はそれぞれ努力肺活量の25% , 50%における呼気流量である
画像の出典:臨床検査技師国家試験 第65回 午前 別冊
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