61. 赤血球の異常所見としてCabot環( 骨髄異形成症候群や巨赤芽球性貧血にみられる ) やSchuffner斑点 ( 三日熱マラリアや卵形マラリアにみられる ) がある
- Auer小体は前骨髄球に , Dohle小体は好中球に , Russell小体は形質細胞にみられる異常所見である
62. 細胞-表面抗原
- 幹細胞-CD34
- 巨核球-CD41
- 単球-CD14
- B細胞-CD19
- NK細胞-CD56
- CD33は単球や顆粒球などの骨髄系細胞に発現する
63. 骨髄穿刺液のMay-Giemsa染色標本

- アズール顆粒を有する前骨髄球であるが , 核の不整が強く , アウエル小体が束状になったファゴット細胞が出現しており , 典型的な急性前骨髄球性白血病 < APL > 細胞である
64. 末梢血のMay-Giemsa染色標本

- 過分葉好中球と赤血球の大小不同を認める巨赤芽球性貧血に典型的な所見である
65. 骨髄穿刺液のMay-Giemsa染色標本

- 大型で胞体の豊富な単球系の細胞が目立つことから単球性白血病が疑われ , 診断にあたりペルオキシダーゼ染色と合わせてエステラーゼ ( 特異的と非特異的 ) 染色が必要となる
- 単球系細胞は非特異的エステラーゼ染色の陽性像がNaFにより阻害される
66. 血算
項目 | 測定値 | |
赤血球数 | 250万 /μL | 基準値:女性380~500万個 / μL |
Hb | 5.0 g / dL | 基準値:女性11.0~15.0 g / dL |
Ht | 18% | 基準値:女性35.0~45.0 % |
白血球数 | 3500 /μL | 基準値:3000~9000個 / μL |
血小板数 | 40万 /μL | 基準値:15~35万個 / μL |
結果から考えられる貧血は小球性低色素性貧血の代表例である鉄欠乏性貧血である
※ 血小板数は基準値の幅も広く個人差も大きい
67. ビタミンKが欠乏するとビタミンK依存性蛋白質である凝固因子の第Ⅱ因子 ,第Ⅶ因子 ,第Ⅸ因子 ,第Ⅹ因子やプロテインC活性 , プロテインS活性が異常をきたし ,プロトロンビン時間 < PT > と活性化部分トロンボプラスチン時間 < APTT >が延長する

68. 抗菌薬-作用機序
- アンピシリン ( β-ラクタム系 ) -細胞壁合成阻害
- ゲンタマイシン ( アミノグリコシド系 ) -蛋白合成阻害
- ミノサイクリン ( テトラサイクリン系 ) -蛋白合成阻害
- シプロフロキサシン ( ニューキノロン系 ) -核酸合成阻害
- バンコマイシン ( グリコペプチド系 ) -細胞壁合成阻害
69. 黄熱は蚊が媒介する
- Q熱・回帰熱・ライム病・日本紅斑熱はマダニが媒介する ( 回帰熱はマダニ以外にシラミも媒介する )
70. 経口感染する肝炎ウイルスはA型とE型である
- その他の肝炎ウイルスは主に血液感染による
71. 染色法-目的菌
- 墨汁法-Cryptococcus neoformans
- Giménez ( ヒメネス ) 染色-Legionella pneumophila
- 芽胞染色-Clostridium属菌やBacillus属菌
- オーラミン・ローダミン染色-Mycobacterium tuberculosisなどの抗酸菌
- 異染小体染色-Corynebacterium diphtheriae
72. 下気道感染症患者の喀痰のGram染色標本
分離菌は5%ヒツジ血液寒天培地およびチョコレート寒天培地に発育した

- グラム陰性の双球菌が観察され ,材料が喀痰であることからMoraxella catarrhalisが考えられる
73. 血液培養陽性のボトル内容液から分離培養したコロニーのGram染色像
Gram染色では矢印で示す形態を示し , 好気培養で発育せず , カタラーゼテスト陰性であった

- 芽胞を有するグラム陽性桿菌が観察され ,好気培養での発育がみられなかったことから偏性嫌気性菌であるClosrtidium spp.であると考えられる
- Clostridium spp.と同じく芽胞を有するグラム陽性桿菌であるBacillus spp.は好気性菌である
74. ウイルス-疾患
- EBウイルス-伝染性単核球症
- ロタウイルス-乳児嘔吐下痢症
- ポリオウイルス-急性灰白髄炎
- ヒトコロナウイルス-風邪症候群
- ヒトパルボウイルス-伝染性紅斑
- 急性胃腸炎はノロウイルスやA型肝炎ウイルス ,流行性角結膜炎はアデノウイルス ,手足口病はコクサッキーウイルスやエンテロウイルスが原因である
75. 接合伝達はプラスミドによる耐性遺伝子の伝播に該当する
- 形質転換は遺伝情報の受け渡しによるもの ,形質導入はバクテリオファージにより遺伝情報が受け渡され ,抗原変異はDNAの塩基配列の変異や塩基の欠失および挿入によって起こる
76. Mycobacterium属-Runyon分類
- M.abscessus-Ⅳ群 ( 迅速発育菌群 )
- M.avium-Ⅲ群 ( 非光発色菌群 )
- M.fortuitum-Ⅳ群 ( 迅速発育菌群 )
- M.kansasii-Ⅰ群 ( 光発色菌群 )
- M.tuberculosis-結核菌群
77. インフルエンザウイルスの主な感染経路は接触感染と飛沫感染である
- 空気感染するものには結核菌・麻疹ウイルス・水痘ウイルスがある
78. Pseudomonas aeruginosa ( 緑膿菌 )
- 42℃で発育する
- 菌体の一端に極単毛 ( 1本の鞭毛 ) をもつ
- ブドウ糖を酸化的に分解する
- オキシダーゼ陽性である
- ピオシアニン ( 緑色色素 ) を産生する
79. 結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法 < IGRA > でサイトカインを産生する細胞はヘルパーT細胞である
- インターフェロンγ遊離測定法 < IGRA > はツベルクリン反応とは異なりBCGおよびほとんどの非結核性抗酸菌の影響を受けない
80. 腫瘍マーカー-対象となる腫瘍
- CEA-胃癌
- SCC-扁平上皮癌
- CA125-卵巣癌
- CA19-9-膵癌
- PIVKA-Ⅱ-肝癌
- 臓器特異性の高い腫瘍マーカーとして前立腺癌のPSA , 卵巣癌のCA125 ,膵癌のCA19-9 ,肝癌のPIVKA-Ⅱなどがある
画像の出典:臨床検査技師国家試験 第65回 午後 別冊
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