第65回 ( 2019年 ) 解説 AM61~AM80

臨床検査技師国家試験第65回 ( 2019年 )
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61. 悪性貧血は内因子に対する自己抗体や壁細胞に対する自己抗体を高頻度に認める

  • 悪性貧血は萎縮性胃炎に伴い内因子が欠乏した結果ビタミンB12吸収不全 , 欠乏が生じる

62. 血小板のα顆粒にはvon Willebrand因子などが含まれる

  • 血小板の濃染顆粒にはADPやセロトニンが含まれる

63. 健常成人における鉄の体内分布比率が最も高いのは赤血球内に存在するヘモグロビン鉄である

  • 健常成人における体内の総鉄量は3~4 gであるが , このうち約2 / 3が赤血球内のヘモグロビン鉄として存在する

64. 遺伝性球状赤血球症では赤血球浸透圧抵抗検査で抵抗性が減弱する

  • 遺伝性球状赤血球症は貧血・黄疸・脾腫・胆石を主症状とする先天性溶血性貧血の中で最も多い疾患である

65. 末梢血液のMay-Giemsa染色標本

第65回午前問65画像
  • 成人T細胞白血病 < ATL > が考えられる
  • 成人T細胞白血病 < ATL > の細胞は核の切れ込み , 核部分の花びらのような形が特徴的である
  • HTLV-1の感染が原因であり , 西南地方に多くみられる

66. 真性赤血球増加症 < PV > ではJAK2遺伝子変異が高頻度でみられる

  • このほか , 本態性血小板血症や原発性骨髄線維症においてもJAK2遺伝子変異が認められることがある

67. 肝硬変播種性血管内凝固 < DIC > では血小板減少とPT延長をともに認める

  • 肝硬変では脾機能亢進により血小板をはじめとする血球が減少し , 肝臓で産生される血液凝固因子の産生も低下するためPTが延長する
播種性血管内凝固症候群 ( DIC ) の検査項目
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68. 細菌-酸素要求度

  • Campylobacter jejuni-微好気性
  • Fusobacterium nucleatum-偏性嫌気性
  • Neisseria gonorrhoeae-通性嫌気性
  • Pseudomonas aeruginosa-偏性好気性
  • Streptococcus pyogenes-通性嫌気性
    • このほか , 微好気性菌にはHelicobacter pyloriなどがある

69. 消毒薬-水準

  • ポビドンヨード-中水準消毒薬
  • 消毒用エタノール-中水準消毒薬
  • グルタルアルデヒド-高水準消毒薬
  • 塩化ベンザルコニウム-低水準消毒薬
  • 次亜塩素酸ナトリウム-中水準消毒薬

70. 髄膜炎が疑われる患者の髄液を5%ヒツジ血液寒天培地 ( 左 ) とチョコレート寒天培地 ( 右 ) の分画培地で35℃ , 24時間 , 炭酸ガス培養した写真を示す. 髄液のGram染色では多数の好中球と共にGram陽性球菌が認められた. 分離菌はBTB乳糖寒天培地に発育せず , カタラーゼ試験陰性 , オプトヒンに感性を示した.

第65回午前問70画像
  • Streptococcus pneumoniaeが推定される
  • Streptococcus pneumoniaeはα溶血を示し ( 集落はときにムコイド状 ) , カタラーゼ試験陰性 , オプトヒン感性 , 胆汁溶解テスト陽性を示すグラム陽性球菌である
  • 髄液や血液等の無菌材料からStreptococcus pneumoniaeが検出された場合を侵襲性肺炎球菌感染症という ( 5類感染症 )

71. Salmonella paratyphi A以外のSalmonella属菌 ( Salmonella Typhiなど ) はリジン脱炭酸反応が陽性である

  • Citrobacter freundiiProteus mirabilisShigella sonneiYersinia enterocoliticaはリジン脱炭酸反応が陰性である

72. 血液培養検査で培養陽性になった好気ボトル内容液のGram染色標本を示す. 嫌気ボトルは培養陰性であった. 分離菌はオキシダーゼテスト陽性であった.

第65回午前問72画像
  • Pseudomonas aeruginosaが推定される
  • 血液培養で好気ボトルのみが陽性であるときは偏性好気性菌である可能性が高く ,偏性好気性グラム陰性桿菌にはPseudomonas aeruginosaAcinetobacter baumanniiなどがある
  • Pseudomonas aeruginosaはオキシダーゼテスト陽性であり ,Acinetobacter baumanniiはオキシダーゼテスト陰性である

73. 培地の滅菌には濾過滅菌高圧蒸気滅菌が用いられる

  • ガス滅菌では医療器材等が対象に , 乾熱滅菌ではガラスや金属器具が対象に , 放射線滅菌では熱に弱く紫外線で劣化する器材の滅菌や血液製剤の白血球の不活化に使用される

74. 輸入真菌症の原因菌となる真菌には

  • Coccidioides immitis=コクシジオイデス症
  • Histoplasma capsulatum=ヒストプラズマ症
  • Paracoccidioides brasiliensis=パラコクシジオイデス症
  • Blastomyces dermatitidis=ブラストミセス症
  • Talaromyces marneffei ( 旧名:Penicillium marneffei  ) =マルネッフェイ型ペニシリウム症

の5つがある

  • これらはすべて二形成真菌である
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75. ウイルスとマイコプラズマに共通する特徴は細胞壁をもたないことである

  • ウイルスは偏性細胞内寄生体であり , DNAもしくはRNAのどちらか一方を有し , 抗生物質に感受性がない
  • 細菌は二分裂で増殖し , DNAとRNAの両方を有し , 抗生物質に感受性がある
  • 一部のマイコプラズマ等の細胞壁をもたない細菌には細胞壁合成阻害を作用機序とする抗生物質は効果がない

76. 目的菌-分離培地

  • Salmonella enterica subsp.enterica-SS寒天培地
  • Mycobacterium tuberculosis-小川培地
  • Legionella pneumophila-B-CYE寒天培地・WYO寒天培地
  • Bordetella pertussis-ボルデー・ジャンク培地
  • Clostridium difficileCCFA寒天培地・CCMA寒天培地
    • BBE寒天培地はBacteroides属菌 , Skirrow寒天培地はCampylobacter属菌の選択分離培地 , GC寒天培地はNeisseria gonorrhoeaeの薬剤感受性試験培地である

77. Staphylococcus aureusのメチシリン耐性の判定に用いるのはオキサシリンとセフォキシチンである

  • MPIPCまたはCFXが“R”のStaphylococcus aureusまたは選択培地でMRSAと確認された菌
  • 微量液体希釈法の基準:MPIPC≧4μg/mL または CFX≧8μg/mL
  • ディスク拡散法の基準:MPIPC≦10mm CFX≦21mm

MIPIC:オキサシリン CFX:セフォキシチ

厚生労働省 院内感染対策サーベイランス ( JANIS ) 「 薬剤耐性菌判定基準 」 2019年1月 改訂 ver. 3.2

78. TCBS寒天培地で黄色 ( 白糖分解 ) コロニーを形成するのはV.cholerae , V.fluvialis , V.alginolyticusなどである

  • 青緑色 ( 白糖非分解 ) コロニーを形成するのはV.mimicus , V.parahaemolyticus , V.vulnificusなどである

79. 受動免疫による感染防止対策がおこなわれているのはB型肝炎である

  • B型肝炎の発症を予防する抗HBsヒト免疫グロブリン ( HBIG ) は受動免疫であるため , 予防効果は早く認められる一方 , 持続期間は短い

80. 健常成人の末梢血白血球分画の数は多い順に 好中球 > リンパ球 ( T細胞 > B細胞 ) > 好酸球=単球 > 好塩基球 となる

  • 好中球が50~60% , リンパ球が20~40%ほどを占める

画像の出典:臨床検査技師国家試験 第65回 午前 別冊

■ 続きの解説は《 こちら

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